自動車メーカーも、米アップルや米グーグルの動きに負けじと車載情報端末プラットフォームの整備を推進する。次世代の車載情報端末は、クルマをより安全に、より快適にするIT化の中核となる。その車載情報端末プラットフォームがクルマの魅力を左右する可能性がある限り、プラットフォームの構築をすべて他社に任せるわけにはいかないというのが自動車メーカーの思いだ。

 前回の記事で(2)として分類した、自動車系メーカーが独自開発した車載端末中心のプラットフォームについて見ていこう。代表例は、トヨタ自動車の「T-Connect」やホンダの「Honda Connect」だ。

専門外の分野で外部の力を借りる

 「車載情報端末向けアプリを作る外部のパートナーに、車両情報も使える環境を用意した」。トヨタ自動車 e-TOYOTA部 スマートセンター開発室 展開グループ長の天野裕二氏は、2014年8月に開始したクルマ向け情報サービス「T-Connect」についてこう語る。

 T-Connectは、トヨタがこれまで提供してきた自動車向け情報サービス「G-BOOK」の後継として開発したもの。T-Connect対応の端末では、クラウドを使用する音声認識機能や、サードパーティーのアプリをダウンロードして実行する機能を利用できる(図1、関連記事:トヨタの新テレマティクス「T-Connect」、クラウド音声認識やアプリ配信を用意)。

図1●トヨタが2014年夏に開始した「T-Connect」に対応する車載情報端末。画面はアプリを選択するときのもの
図1●トヨタが2014年夏に開始した「T-Connect」に対応する車載情報端末。画面はアプリを選択するときのもの
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 「G-BOOKでの技術の蓄積と、クラウド、ビッグデータ、スマートフォンの広がりといった環境の変化が進む中で、トヨタが車載情報端末で手掛けるべき部分を見つめ直した」(天野氏)。車両操作につながる対話型インタフェースや、高度運転支援につながる高精度なナビゲーション、クルマの新しい価値につながるビッグデータなどは自動車メーカーが主体となって開発する領域だと定義。その一方で情報系や娯楽系のサービスでは「外部のアプリやコンテンツ提供者の力を借りようと考えた」(天野氏)。