毎年世界中から「LibreOffice」の関係者が集まり、「LibreOffice Conference」が開催されます。2016年はチェコ共和国第2の都市ブルノ(Brno)で、9月7日(水)から9日(金)まで行われました。その様子をレポートします。

 開催都市のブルノは、チェコの東部モラヴィア地方の中心地で、首都のプラハよりも、オーストリアのウィーンからの方が近い位置にあります。街の歴史も古く、中心部は様々な年代の建物が残る美しい町並みです。近年ではRed Hatが数百人規模の大きなオフィスを置くなど、IT産業も増えてきているようです。カンファレンスは、街の北部にあるブルノ工科大学情報工学部キャンパスの落ち着いた雰囲気の校舎で行われました。

 3日間にわたり3トラック(2トラックの時間帯もあります)80以上のセッション・ワークショップが行われました。参加者は基調講演の時点で100人程度集まっていました。過去最高レベルで約150人だった2015年よりはやや減少したと思いますが、ほぼプロジェクトで活動しているメンバーしか参加していないイベントとしては、多くのメンバーが集まりました。日本からの参加者は筆者(榎)とLibreOffice日本語チームの小笠原徳彦氏、田﨑慧氏の3人でした。また同じCJK圏の台湾からも3人の参加者がありました。

 LibreOffice ConferenceはローカルのLibreOfficeコミュニティが立候補し、選ばれたところで開催されます。今回はチェコのオープンソース・コミュニティである「OpenAlt」を中心にローカルチームを作っていたようです。様々な企画やサポートを行ってくれました。

カンファレンス会場となった校舎の入口
カンファレンス会場となった校舎の入口
(撮影:田﨑 慧)
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LibreOfficeのコミュニティは順調

 カンファレンスは毎年、LibreOfficeプロジェクトのこの1年と今後についての「State of the Project」からスタートします。Florian Effenberger氏、Michael Meeks氏、Italo Vignoli氏が交代で発表しました。

 まず、2016年1月に61歳で突然亡くなったJohn McCreesh氏がLibreOfficeプロジェクトの黎明期にまとめた「TDFマニフェスト」(※リンク先はPDF)について振り返りました。この「私たちの価値観」は今でも重要な指針になっています。