Raspberry Pi(ラズパイ)を活用する楽しい作品やアイデアを表彰する「みんなのラズパイコンテスト2016」の受賞作品が、2016年10月18日に発表されました。今年で3回目となる本コンテストでは、アイロンビーズの自動配置機といった、驚くような作品が50件表彰されました。

 日経Linuxと日経ソフトウエアが開催するみんなのラズパイコンテスト2016の募集期間は2016年6月6日~9月12日でした。Raspberry Piを使った電子工作やアプリケーションの作品・アイデアが集まりました。今年は、昨年の1.5倍に当たる150件以上の応募がありました。

 3回目に当たる今年がこれまでと違ったのは、最高と評価された作品に与えられる「グランプリ」の選出がなかったことでした。代わりに2作品が「準グランプリ」の受賞となりました。

 2作品ともグランプリの最終候補として審査会議で議論されましたが、一部未完成の作品だったり、もう一段新規性が欲しい作品だったりしたため、今回の結果となりました。本コンテストの審査委員長を務める青山学院大学客員教授 阿部 和広氏は「これは決してネガティブな話ではありません。今年は作品全体の平均レベルがぐっと上がりました。グランプリはよりレベルの高い作品に与えたいと考えて、準グランプリとしました」と総括しました。

アイロンビーズを色別に自動配置

 準グランプリの1件目は、えれくら!(かめいさんほか)が作ったアイロンビーズ自動配置マシン「アイロンビーズセッター」です。

 アイロンビーズは、パイプ状のビーズを専用のプレートに並べて絵柄を作り、アイロンを当てて熱でくっ付けてアクセサリーなどにするものです。色とりどりのビーズを並べるのに手間がかかりますが、そこを今回の作品で自動化します。

 専用のビーズ供給ポットには、いろんな色のビーズを無造作に入れておきます(図1)。そのポットから供給ポイントへビーズを送ったときに、色センサーで色を判別してRaspberry Piに送ります。Raspberry Piは、供給されたビーズをつかんで専用プレート上まで動かすセッターに指示を送ります。セッターは、ビーズの色に合わせてプレートの所定の位置に移動させます。要らない色だった場合は、別の場所に捨てます。

図1●準グランプリの「アイロンビーズセッター」(アイロンビーズ自動配置マシン)
図1●準グランプリの「アイロンビーズセッター」(アイロンビーズ自動配置マシン)
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 ビーズ供給ポットやセッターのモーターは専用のマイコン基板などで制御し、Raspberry Piからはコマンドなどで指示します。Raspberry PiではWindows 10 IoT Coreを動かしています。

 2016年9月の応募時点では完成まであと少しというところでしたが、2016年12月には作り上げる予定だそうです。

ゴミ出し日から気象情報までなんでも通知

 準グランプリの2件目は、小助川淳一さんの「進化し続ける我が家の『IoT』」です。各種センサーや表示装置を家中に置き、日常生活のちょっとした作業を「IoT化」するシステムです(図2)。種別ごとのごみを出す日の通知、気象条件に応じた携帯電話などへのアラーム、ライブカメラによるペット見守り、赤外線リモコンによるテレビの制御など、さまざまな機能をRaspberry Piで実現しています。審査会議では、「ホビーの電子工作でやってみたい、ほとんどすべての要素が入っている」と評価されました。

図2●準グランプリの「進化し続ける我が家の『IoT』」
図2●準グランプリの「進化し続ける我が家の『IoT』」
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 2014年夏からシステムを徐々に拡張させて、Raspberry Piは2台に増えました。60才を超えてから初めてLinuxに挑戦し、今も機能拡張を続けています。ライブカメラはベランダにも設置して、台風や大雪の日の様子をタイムラプス動画(1分ごとに撮った静止画をつないだ動画)で見られるようにしました。