米エヌビディアは2016年10月5日、都内で「GPU Technology Conference Japan 2016」を開催し、同社創業者でCEO(最高経営責任者)のジェンスン・ファン氏(写真1)が来日して基調講演を行った。

 エヌビディアは、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)メーカーとして知られていたが、ここ3年ほどは、ディープラーニング(深層学習)やAI(人工知能)、自動運転などへの応用を大きく打ち出している。今回の基調講演もこうした同社の方向性を強く反映するものとなった。

写真1●基調講演を行ったジェンスン・ファンCEO
写真1●基調講演を行ったジェンスン・ファンCEO
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 登場したジェンスン氏は、AIとIoTがキーワードとなる現在は「コンピューティング新時代」であるとしたうえで、これまでを簡単に振り返った(写真2)。1995年にインターネット接続が可能になり、10億人のPCユーザーが出現した。さらに2006年ごろにスマートフォンなどによりモバイルインターネットやクラウドが登場、モバイルユーザーは25億人に到達した。そして現在、AIやIoT技術により、数千億のデバイスがネットワークに接続されようとしている。これは「コンピューティングの新時代」なのだという。

写真2●最初に現在に至るコンピューティングの流れを簡単に振り返り、今後AIやIoTなどにより数千億のデバイスがネットワークに接続されるとした
写真2●最初に現在に至るコンピューティングの流れを簡単に振り返り、今後AIやIoTなどにより数千億のデバイスがネットワークに接続されるとした
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 ジェンスン氏は、GPUによるディープラーニングは「新しいコンピューティングモデル」であるとした(写真3)。PCやスマートフォン、IoT機器などインターネットに接続する「インテリジェントデバイス」から大量のデータがインターネットに蓄積される。これをGPUによるディープラーニングで処理し、クラウド側、あるいはインテリジェントデバイス側で利用する、というサイクルが出来始めている。これは、サーバー/クライアントやクラウドといったこれまでのコンピューティングモデルとは違ったものだとした。

写真3●GPUディープラーニングは、インテリジェントデバイスから集めたデータを学習しニューラルネットを構築、クラウドやインテリジェントデバイスで推論を行うというサイクルが作られる新たな「コンピューティングモデル」であるとした
写真3●GPUディープラーニングは、インテリジェントデバイスから集めたデータを学習しニューラルネットを構築、クラウドやインテリジェントデバイスで推論を行うというサイクルが作られる新たな「コンピューティングモデル」であるとした
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 既にこのコンピューティングモデルは動き出しており、年々規模が増大していく。また、このモデルでは、膨大な計算量が必要で、それにはGPUが必要だとした。そこでジェンスン氏は、9月に発表した「Tesla P4」と「Tesla P40」を紹介した。

 これは、データセンターなどで大規模なディープラーニングを行うためのGPUアクセラレーターだ。また、エヌビディアがGPU演算に最適化したTensorRTソフトウエアを紹介、これらの組み合せにより短時間で学習を行えるとした。