個人情報保護法の改正案では世界でも初めてとなる「匿名加工情報」を新設。ビッグデータを活用した新事業の創出を促す。個人情報の定義も明確化し、グレーゾーンの解消を目指す。企業に関係しそうな改正案のポイントを見ていく。

名簿屋対策が過剰規制の恐れも

 四つ目の柱は、名簿屋対策を強化したことだ。2014年7月にベネッセコーポレーションから大量の顧客情報が名簿屋を通じて流通していた事件を受けて盛り込まれた。

 従来の個人情報保護法は企業が個人データをやり取りする場合に、本人の同意を得るのが原則だった。だが名簿業者がWebサイトなどでオプトアウトの手段を示せば、本人が明確に同意していなくても大量の個人情報を販売できる例外規定があった。

 改正案では、例外規定を厳しくした。本人の同意なくオプトアウトの手段を示して個人情報を渡す場合は、個人情報保護委員会に届け出る必要がある。

 さらに企業に対して記録義務を課す。個人データを第三者に提供する際に、企業は提供した年月日や提供先の氏名・名称など、委員会が規則で定めた項目を記録、保存しなければならない。

 この点について、国会審議では「事業者の負担に最大限配慮する」(向井審議官)とする。ログやIPアドレスなどの保存、一定期間に特定の相手に伝えた個人データを包括的に記載する、といった方法も考えられると説明している。