機械学習や自然言語処理といった人工知能(AI:Artificial Intelligence)技術の領域で、優秀な人材の奪い合いが起きている。ITpro連載「脳に挑む人工知能」の891011回で紹介したAI人材戦略の続編として、楽天とヤフーの人材戦略を紹介する。まず今回は、楽天 執行役員 楽天技術研究所代表の森正弥氏(写真)に話を聞いた(聞き手=浅川直輝)。

写真●楽天 執行役員 楽天技術研究所代表の森正弥氏
写真●楽天 執行役員 楽天技術研究所代表の森正弥氏
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2015年7月に、楽天技術研究所の海外拠点をシンガポールと米国ボストンに新設した狙いは。

 シンガポール拠点ではモバイルソーシャル分野を、ボストンの拠点ではディープラーニング(深層学習、多層ニューラルネットワークによる機械学習)を含めた機械学習の先端分野の研究者を集める。今回の新設で4カ国5拠点の体制となる。

 両拠点を新設したのは、機械学習に精通した人材を獲得するためだ。特にディープラーニングの進歩には、楽天の技術戦略を丸ごと変えなければいけないほどのインパクトを感じている。MIT(マサチューセッツ工科大学)やハーバード大学など、米国トップ級の大学が隣接するボストンで研究人材を集める。

「技術戦略を丸ごと変えなければならない」ほどのインパクトとは、具体的にはどのようなものか。

 詳しく開示できないのであいまいな表現になるが、ディープラーニングを使うと「推定の精度」が極めて高くなることが分かった。