うちの会社はなぜこんなに会議が多いんだ――。ビジネスパーソンならこんな不満を感じたことがあるだろう。この「会議」を見直すと、社内における議論の活性化や業務の効率化につながる。

 スマートフォン広告のCyberZは全社の会議数を3分の1に「仕分け」した。仕分けに当たって同社は「良い会議」の基準を策定。経営トップが自ら仕分け作業に参加し、全ての会議を基準に沿って棚卸しした。野放図な会議の増加を抑えるルールも設けた。

 結果は、全社で毎週149件あった会議のうち、104件を廃止。時間にして毎週92時間を節約した。同社の社員数は250人。企業規模に比べて会議の数は必ずしも多いとは言えないが、会議数を3分の1に削減した。

 会議を単純になくしただけではない。内容が重複している会議が複数あれば一つにまとめたり、会議自体は続けるが時間を半分にしたりと、全体を整理した。

「報告?Slackでいいじゃん」

 「なんだか会議が多い気がするな。ちょっと調べてみよう」。きっかけは、市川陽取締役のこの一言だった。2016年1月、全社の業務改革案件を話し合う「先送り撲滅会議」の場での発言である。市川氏はスマホ広告計測ツール「F.O.X」をはじめとする開発部門とバックオフィス部門を統括している。

「会議が増えることに疑問を持たない組織の文化を変えたかった」と話す市川取締役
「会議が増えることに疑問を持たない組織の文化を変えたかった」と話す市川取締役
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 同社は半年に一度、先送り撲滅会議を開いている。1月に開かれたその場では、役員が出席する会議の多さ、参加人数が多い会議が目立つことなどが議題に上った。

 結果、会議そのものを棚卸しすることを業務改革案件に決定。市川取締役を中心に編成したチームで、プロジェクトが動き出した。

 まずチームが取り組んだのが、会議の実態調査だ。全ての会議について、会議の開催タイミングと時間、参加すべき社員リストと過去10回の参加実績、アジェンダと議事録を提出するよう、全社に通達を出した。

 調べてみると、アジェンダや議事録がない会議が少なくないことが判明した。「議事録すらない会議は、そもそも意味がない」(市川取締役)と判断し、廃止の最有力候補とした。これを含め、問題ありと判断する項目を決めて、各項目に当てはまる会議を「仕分け対象」とすることにした。