ページビュー(PV、総閲覧件数)頼みはもう止めよう――。こんな方針を掲げ、黎明期から続くネット業界特有のビジネスモデルから脱却を試みるネット企業が増えている。広告料金で稼ぐために自社のWebサイトに多くの閲覧者を集め、広告のクリック数を高めることに終始する従来手法とは違った世界を模索する。

 「脱PV依存」を掲げるもう一つの先進的な企業が、情報サイト大手オールアバウトである。江幡哲也社長は「900人規模の『ガイド(コンテンツ制作者)』の能力を買ってもらう。そんな新しい事業モデルを作る」と鼻息が荒い。最近企業が自らメディアサイトを持ち、販促に生かす「コンテンツマーケティング」と呼ぶ動きが活発になっている。その流れに乗りたい考えだ。

(聞き手は玉置 亮太=日経コンピュータ


設立から15年が経過しました。インターネットはどう変化しましたか。

 大きく三つの世代に分かれて発展してきたと考えています。当社が創業した2000年ごろまでは、既存のビジネスをそのまま置き換えることがネット活用の主流でした。その後の10年はブログやSNSが台頭し、人々のコミュニケーションの手段を大きく変える世代。そして現在の第3世代では産業構造そのものを変える時期にさしかかっているのではないでしょうか。

写真●オールアバウトの江幡社長
写真●オールアバウトの江幡社長
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 代表例はCtoC(個人間取引)やシェアリングエコノミーと呼ばれる、企業ではなく消費者が主体になるビジネス形態でしょう。クラウドや3Dプリンターを使った低コストで小回りのきくモノ作りが可能になったことも象徴的です。個人はスマートフォンでいつでもネットにつながります。当社もこうした変化をとらえて、半歩先を見た事業運営をこころがけたいと思っています。