2005年12月のジェイコム株誤発注をきっかけに始まったみずほ証券と東京証券取引所の裁判がようやく決着した。最高裁判所が2015年9月3日、双方の上告を退けたのだ。これより東証に約107億円の支払いを命じた第二審の判決が確定した。

 この裁判では「ソフトのバグが重過失に当たるか」が大きな争点になったため、IT業界で注目を浴びていた。東京高裁は「速やかに売買停止の権限を行使しなかったのは、東証の重過失に当たる」として東証に約107億円の支払いを命じたものの、ソフトのバグが重過失とは認めなかった。みずほ証券は誤発注を取り消せずに400億円を超える損失を出したのは東証のシステムにバグがあったためと主張、東証に対して約415億円の損害賠償を求めていた。

 事件が起こってからおよそ10年。ITproはこの両社の動向と裁判を追ってきた。これまでの経緯は以下にまとめた過去記事のリンクで確認してほしい。

【ニュース】
2005/12/12みずほ証券の誤発注問題、東証のシステムにも不具合
2005/12/20東証、誤発注事件を受けた処分と新体制を正式決定
2006/01/31東証が誤発注を取り消せない不具合の調査結果を発表、「富士通にも責任がある」
2006/02/01みずほ誤発注による損失負担の議論、いまだ始まらず
2006/03/22東証がみずほ証券への処分を発表、1000万円の過怠金と業務改善報告書を請求
2006/06/09富士通の黒川社長、東証トラブルで「補償の要求ない、する考えもなし」
2006/08/22みずほ証券が誤発注問題で東証に404億円請求、東証は支払い拒否の構え
2006/09/08東証、404億円の賠償請求拒否をみずほ証券に回答へ
2006/09/22みずほ証券、東証に賠償拒否の理由について質問状を送付
2006/10/27みずほ証券が東証を提訴、誤発注の損害415億円を賠償請求
2006/12/15みずほ証券の誤発注を巡る裁判がスタート
2007/02/09みずほ証券と東証の裁判、システム不具合の詳細はいまだ明らかにされず
2007/04/13みずほ証券・東証裁判、バグのあったプログラムのソース・コードが次回法廷に登場へ
2007/06/08みずほ誤発注裁判、バグのあったソース・コードを東証側が提出せず
2007/08/31みずほ誤発注裁判、バグのあったソースコードの提出命令をみずほ証券が申し立て
2007/11/16みずほ証券が東証のテスト結果“原資料”の提出を申し立て、みずほ誤発注裁判で
2008/01/18システムの詳細情報は法廷に必要ない? みずほ誤発注裁判で第7回口頭弁論
2008/03/14みずほ証券が2つの「義務違反」を追加申し立て――株誤発注裁判で第8回口頭弁論
2008/05/09「富士通の開発ミスの全責任は東証にある」とみずほ証券、株誤発注裁判
2008/07/25「『現行と同一』では要件は定義されない」とみずほ証券が再主張、株誤発注裁判
2008/09/05みずほ証券のジェイコム株誤発注裁判、12月19日に結審へ
2008/11/14「東証に全責任がある、過失相殺とはならない」みずほ証券が株誤発注裁判で結審前に強調
2008/12/19みずほ証券-東証の株誤発注裁判、来年2月27日に判決
2009/02/19[速報]みずほ証券・東証の株誤発注裁判、2月27日の判決日が延期
2009/06/12株誤発注裁判の口頭弁論が再開、初の証人尋問で東証職員が法廷に
2009/09/25みずほ証券-東証の株誤発注裁判が改めて結審、12月4日に判決
2009/12/04みずほ証券の株誤発注裁判、東証に107億円の賠償命令、過失は7割
2009/12/04みずほ証券株誤発注裁判、東証社長は「主張はおおむね認められたが、責任7割は納得できない」
2009/12/14みずほ証券の株誤発注裁判、東証は控訴せず
2009/12/18株誤発注裁判、みずほ証券が控訴
2009/12/22株誤発注裁判、みずほ証券に続き東証も控訴
2013/03/18株誤発注の損失をめぐる「みずほ証券―東証」の控訴審が結審、判決は7月24日
2013/07/24[速報]みずほ証-東証の株誤発注控訴審、一審と同じく東証に107億円賠償命令、バグの重過失認めず
2013/08/07みずほ証-東証誤発注裁判、みずほ証券が上告
2015/09/04みずほ証-東証裁判で最高裁が上告を退ける、約107億円の賠償が確定