全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)が、羽田空港を出発する乗客をITでスムーズに誘導しようと知恵比べをしている。手荷物の預け入れにセルフサービス機をそれぞれ導入したほか、保安検査場や搭乗口での案内にスマートフォン(スマホ)も活用するなど、乗客の流れをスムーズにしようとあの手この手を繰り出す。

 帰省や観光などで行き来する乗客が増え、1年で最も忙しくなるお盆休みシーズンはもう目前。各社のアイデアは、ピーク期に消費者の厳しい評価を受けることになる。

荷物を飲み込む、見慣れない装置が…

ANAが7月に使用を始めた手荷物の自動預け入れ機
ANAが7月に使用を始めた手荷物の自動預け入れ機
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 「お手荷物はこちらの機械でお預かりいたします。どうぞご利用ください」――。羽田空港の第2ターミナルの出発ロビーにANA係員の声が響く。係員が指さす先には、見慣れない奇妙な装置があった。人間の背丈よりやや低めの、丸みを帯びたシャッター付きの機械。これが、ANAが7月1日に導入した動線改革の切り札だ。手荷物を自動で預け入れられるセルフサービス機である。

 セルフ機の液晶画面の指示に従って、搭乗券やマイレージカードなどをかざすと、細長い手荷物タグが発行される。乗客はこれをスーツケースの取っ手などに巻き付けて両端を張り合わせたうえで、スーツケースをセルフ機内部の預け入れスペースに置く。するとセルフ機のシャッターが閉じ、手荷物は出発カウンター裏側のベルトコンベアーによって運ばれていく。引換証が発券されると処理は終了。所要時間は45秒ほどで、有人カウンターの約1分より早い。