デジタルガレージ主催の「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2015 TOKYO」が、2015年7月6~7日に開催された。初日のテーマは、「デジタル通貨の未来」。世界中から識者が集まり、ビットコインをはじめとしたデジタル通貨や基盤技術の最新トレンド、規制の動向などを語った。本レポートでは、全3回でその模様を報告する。
ビットコインは規制ができない。管理母体のないテクノロジーであり、プロトコルであり、ネットワークだ。だが、2009年に生まれ、存在し、既に世界中に広がっている中で、各国の規制当局は何かしらの手を打たざるを得ない。
2015年7月6にデジタルガレージが主催した「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2015 TOKYO」では、こうしたビットコインの規制をテーマに午後のセッションが開催された。数々の講演から見えてきたことが二つある。一つは、ビットコインの規制に対する、日本と米国のこれまでのスタンスの違い。もうひとつは、各国で対応が分かれていた規制の差異は、おのずと無くなっていくということだ。
米国の法規制について説明したのは米コインセンターのジェリー・ブリトー氏だ(写真)。ブリトー氏は「米国は規制において他国より先んじている。米国は治外法権の現実を法律で網羅している」と主張。一例として、米金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)が公表した、銀行秘密法でのビットコインに関するガイダンスを挙げた。これによって、法を遵守するためには何をすべきなのか、何をしてはならないのか、グレーゾーンだった部分が明確になったという。「明確さがイノベーターに提供されたということだ」とブリトー氏は語った。
一方、日本はどうか。創法律事務所の創設者であり、日本政府に対しビットコインの規制に関する助言をしてきた斎藤創氏は「2014年6月に日本ではビットコインを規制しないという結論を出した」と語った。理由は、大きなポテンシャルを秘めているビットコインを規制すれば、日本が経済的に遅れてしまうのではないかと政府が判断したからだという。