レノボ・ジャパンは2016年6月30日、みなとみらいの大和研究所で「大和TechTalk」を開催し、ThinkPadシリーズを支えるイノベーションや開発哲学、最新の「ThinkPad X1 Yoga」などについての技術的な背景を解説した。
人間ではなく機械が歩み寄ってくれる時代に
イベントには、「ThinkPadシリーズの父」として知られるレノボ・ジャパン 取締役副社長の内藤在正氏が登壇。ThinkPadの25年間の歴史と、大和研究所の歩みを振り返った(写真1)。
大和研究所については、「1992年に最初のThinkPad 700Cが誕生したときから、ThinkPadの研究所としてやってきた。2005年にレノボに買収された後、2014年にはシリーズ累計1億台の出荷を達成した」と振り返った(写真2)。
現在の内藤氏は、社内で「PCSD」と呼ぶPCとスマートデバイスの組織に所属する。ThinkPadとコンシューマー向けノートPCの開発を一体化した部門で、日本の大和研究所を始め、中国の北京、米国のノースカロライナ州モーリスビル(ラーレイ)などに拠点があり、内藤氏は日本の責任者を務めているという。
内藤氏はThinkPadについて「25年の歴史をすべて語るには時間が足りない」と前置きしつつ、「ビジネスツールとして、オフィスから離れても生産性を得られることを念頭に置いている」と説明。「オフィスの外といっても、24時間仕事をするわけではない。むしろ移動時間、すきま時間などを使って効率的に仕事を進めることで、個人の時間を増やすことが目標である」と語った。
ThinkPadの開発チームのメンバーは、「どの部品を担当していたとしても、なぜそう作るのかお客様に理由を説明できなければならない」(内藤氏)という。「そのためには仕様を自分なりに理解し、消化することが重要だ」(同)と語った。
レノボによる買収後、出荷台数は9年間で7500万台へと大幅に伸びたという。「レノボになって、ThinkPadが変わるのではないかという心配の声をいただいた。本当はいろいろやりたかったが、不安を払拭するため3年間は変えなかった」(内藤氏)と振り返った(写真3)。