この半年から1年ほどの間に、人工知能(AI)の事例が急増してきた。IT系の展示会に足を運ぶと、AIをキーワードに掲げた製品やサービスを非常に多く目にするようになった。

 現在も、AIに関連する話題には毎日事欠かない。2016年5月17日付日本経済新聞の一面には、「AI社長の下で働けますか」というキャッチーな見出しが出た。記事によれば、日立製作所が2019年の実用化を目指して経営判断をサポートするAIを開発を進めている。経営会議にかける内容を入力すると、様々な記事やデータを基に経営判断に必要な情報を提示するという。

 AIはまさに全盛期を迎えている。過去2回のブームを経て、現在は第3次AIブームと言われているのもうなずける。大ブームといっても差し支えないだろう。

 この文をお読みの皆さんの中には、AIが話題になっていると実感しつつ、「自分の仕事にはまだ関係ない」と思っている方がいるかもしれない。だが筆者は、AIの中でもとりわけ「機械学習」を使ったものは、全てのエンジニアが今すぐに学ぶべきだと考えている。

 今回と次回の2回で、いまエンジニアが最低限知っておきたい機械学習の基本と進め方をお伝えする。ぜひこの機を逃さず、トライしてほしい。

 今回はAI/機械学習の概要に加えて、なぜエンジニアが学んだ方がよいのかについて説明する。

人の発する音声を認識し、言葉を理解し、行動する

 まず、AIの現状について触れておこう。多くの人はAIと聞くと「高度な知性や意識、感情を持つ機械」というイメージを抱くかもしれない。これらを備えたAIを「強いAI」と呼ぶこともある。