小中学校でプログラミング教育の必修化が決まり、小学生向けのプログラミング体験イベントや学習サービスなど、小学生にプログラミングを教える機運が高まっている。2016年5月5日に開催した大規模プログラミング体験イベント「Hour of Code こどもの日1万人プログラミング」を取材した。
「予習していたのに、逆に教わってしまった」。スタッフが笑いながら話す。「みんなのコード」は2016年5月5日、Hour of Code こどもの日1万人プログラミングを開催した。日本中の小学生が教室やオンラインで一斉にプログラミングを体験した。日本マイクロソフト本社のメーン会場では、現職ITエンジニアが小学生にプログラミングを教えた。参加者には”ベテラン”の小学生もいる。チューターのミスを逆に指摘したり、開会式中に初級レベルをクリアしてしまったり。今、日本の小学生が変わりつつある。
オバマ大統領も体験したHour of Code
米国の非営利団体であるCode.orgが提唱した「Hour of Code」は、1時間でプログラミングを体験するイベントだ。2013年に米国で始まり、2014年には米オバマ大統領もプログラミング体験をした。累計約20万回のイベントが180カ国以上で開催したという。
Code.orgは、Webサイト上でイベントで使うプログラミング環境を公開している。プログラミング言語と聞いてイメージする”コード”は使わず、命令を表すブロックをマウスを使って積み上げるようにプログラミングする。
例えば「前に進む」ブロックと「作物を植える」ブロックを組み合わせると、キャラクターが1歩前進して畑を広げる。問題ごとにお題があり、ブロックを組み合わせて達成する。例えば「川の両側で作物を育てる」というお題では、ループブロックを二つ使って川の両側に作物を植えるとクリアだ。条件分岐ブロックやイベント実行ブロックもあり、難度によっては現職ITエンジニアもうっかり間違えるほどだ。
今回のイベントでは、110カ所の連携会場の参加者3378人、オンラインの参加者が9255人。合わせて1万2千人超の小学生が一斉にプログラミングを体験した。
開場から10分後、開会の挨拶を待たずに小学生たちがプログラミングを始める。中には開会式が終わる頃に初級者レベルの問題を全てクリアしてしまった児童もいた。「もう出来ちゃったよ」と小声で話す顔は自慢げだった。