内閣官房と経済産業省は2015年4月、企業間取引や人の流れ、人口動態などのビッグデータを可視化する「地域経済分析システム RESAS」の提供を開始した。RESASの狙いは地域経済活性化にあるが、筆者は地域型BCM(地域内の官民連携による事業継続マネジメントの統合運用)にも活用すべきと以前から主張しており、行政や地方自治体に働きかけてきた。
筆者は2016年4月18日の週に、熊本に入った。4月14日から連続して発生した熊本地震に伴う企業・産業復旧支援に向けて、RESASの活用を推奨することが狙いの一つである。
住民や企業人、行政の職員は皆、心身ともに疲労困憊しているという印象を受けた。想定外だった地域での大規模地震の発生、その後も連続して発生する余震・本震、徐々に移行する震源地などにより、緊張感とストレスが上昇し続けたようだ。今回の地震で被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げたい。
特に行政職員は目の前に山積していく住民対応に追われており、商工部門の担当者も応援に駆り出されていた。企業被害の確認や救援の検討をする余裕は全くなさそうで、まだRESASを活用できる状態ではなかった。
状況が落ち着いて、復興のビジョンが語れるようになった頃に、RESASを用いた地域産業・企業状況の把握や通常時・緊急時の利活用に関する議論を再び始めていきたいと考えている。
RESASの活用は熊本に限らず、南海トラフ地震の発生を控える中部地域や、直下型地震が予想される首都圏でも検討すべき重要なテーマだと筆者は捉えている。以下、RESASを中心とする地域型BCMへのIT活用について説明したい。