ヤフーは、2016年3月20日、都内でディープラーニング(深層学習)に関するイベント「Deep Learning Tokyo 2016」を開催した。同イベントには、米国カルフォルニア大学バークレー校のBerkeley Vision and Learning Center(BVLC)からトレバー・ダレル(Trevor Darrell)教授や東京大学情報理工学系研究科の原田達也教授、ヤフー、Preferred Networksなどが講演した。

 ディープラーニングとは、多層のニューラルネットワークを使う機械学習技術の一種。最近になり、コンピュータの処理速度の向上やインターネットを使った大量データの収集が可能になり、急速に進歩しつつある。ディープラーニングは画像や音声、言語認識などを取り扱うクラウドサービスや自動車の自動運転技術、あるいは市販車の自動ブレーキシステムなどにも応用されている。

 従来型の認識技術では、認識対象の様々な特徴をまず人が把握し、複数の特徴量を計算するプログラムを作り、その結果を使って識別などを行っていた。

 ディープラーニング技術では、この部分をプログラミングではなく大量の対象(例えば画像認識ならサンプルとなる画像)による学習処理で行う点が大きな違いだ。以前は、学習に膨大な計算量が必要だったが、CPUのマルチコア化や、並列演算が得意なGPU(Graphics Processing Unit)の発展などにより、実用的な時間での学習が可能になってきた。

Caffeの開発元、BVLCのダレル教授が講演

 最初の講演は、BVLCのダレル教授(写真1)。ヤフーはBVLCのスポンサーになっており、今回はダレル教授の来日に合わせてイベントを開催した。BVLCは、「視覚」と「機械学習」など「自立知覚」(Autonomous Perception)を研究する組織だ。ディープラーニングシステムを構築するフレームワーク「Caffe」の開発元でもある。

写真1●Berkeley Vision and Learning Center(BVLC)のトレバー・ダレル教授
写真1●Berkeley Vision and Learning Center(BVLC)のトレバー・ダレル教授
(撮影:塩田 紳二、以下同じ)

 ダレル教授の講演タイトルは「Articulate and Actionable Deep Learning」(明晰で行動可能なディープラーニング)。ダレル教授は、まずディープラーニングとは、という簡単なところから話を始めた。