米マイクロソフトは、次期アップデートである「Windows 10 Creators Update」(開発コード名はRed Stone 2、以下RS2)で「複合現実(Mixed Reality、以下MR)」対応を行う。2016年8月に米インテルが米国で開催した開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF)」では、インテルがMRデバイスを発表した。そのときに登場した米国マイクロソフト上級副社長 Windows and Devices事業部のテリー・マイヤーソン氏は、Windows 10搭載PCとヘッド・マウント・ディスプレー(HMD)の組み合わせでMRを可能にすると発表、そのスペックを2016年12月に公開するとしていた。

2016年8月に開催されたIDFで汎用PCとHMDでWindows 10のMR対応を行うことを発表するテリー・マイヤーソン氏。
2016年8月に開催されたIDFで汎用PCとHMDでWindows 10のMR対応を行うことを発表するテリー・マイヤーソン氏。
(撮影:塩田 紳二)
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2016年8月のIDFで、MR対応のPCのスペックなどは2016年12月に公開すると発表していた。
2016年8月のIDFで、MR対応のPCのスペックなどは2016年12月に公開すると発表していた。
(撮影:塩田 紳二)
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 そのスペックは、2016年12月に中国・シンセンでマイクロソフトが開催した「WinHEC(Windows Hardware Engineering Community)」で公開された。この記事では、公開されたマイクロソフトの資料を基に、MR Ready PC(Mixed Reality Ready PC)を含む2017年のPCハードウエアを解説する。

 マイクロソフトは、既に一体型のMRデバイスとして「HoloLens」を開発者向けに販売している。RS2以降では、通常のPCとHMDの組み合せでMRができるようにする。マイクロソフトは、MR実現に必要なPCやHMDの仕様を確定し、「MR Ready PC」という形にしてPCメーカーの対応を促す。

MR対応HMDは製品ごとに価格がかなり違いそう

 マイクロソフトは、HMDの仕様として下表のような幅のある仕様を公開している。これを見る限り、Windows 10対応のHMDでもスペックにより大きな価格差が出そうだ。

米マイクロソフトが定めたHMDの仕様
米マイクロソフトの資料「WinHEC2016-WindowsHolographic_v1_5pptx」を元に筆者が作成
最小最大
解像度(片眼)1080×1200ドット1440×1440ドット
リフレッシュレート60Hz90Hzまたは120Hz
パネルの方式液晶有機EL
音声出力オーディオ出力ジャック統合ヘッドホン
音声入力マイク入力ジャック統合マイクロホンアレイ
データ接続USB 2.0USB 3.0
ディスプレイ接続HDMI 1.4HDMI 2.0またはDisplayPort
接続ケーブル複数ケーブル可単一ケーブルのみ
アクセサリーゲームコントローラー利用3自由度または6自由度コントローラー

 HMDのリフレッシュレートは、最低で60Hz、つまり画面を1秒間に60回の書き換えることが求められている。これは両眼でのことなので、画像としては同時に2枚、つまりシーンを1秒間に120回レンダリングできなければならないことを意味する。最大リフレッシュレートは90Hzまたは120Hzだ。解像度は、最低でも片眼で1080×1200ドット、最大で1440×1440ドットとなっている。表示デバイスは液晶また有機ELとされている。

 映像の接続はHDMIまたはDisplayPortが想定されているが、高解像度でリフレッシュレートが高い上位製品はDisplayPort、下位機種はHDMIという切り分けになるだろう。なおHDMIは、最低でもバージョン1.4が必要とされている。HDMI 2.0も利用可能で、1080×1200ドットならば90Hz~120Hzのリフレッシュレートに対応が可能だとみられる。

 DisplayPortにはバージョンが明記されていないが、最高解像度1440×1440ドットのリフレッシュレート120Hzは、バージョン1.3か1.4でないと対応できないとみられる。なお、最低解像度の1080×1200ドット/60Hzであれば、仕様上はバージョン1.0/1.1以上で対応が可能だろう。