2017年1月18日に開催された、BtoB領域のオープンイノベーションを促すためのイベント「Draper Nexus B2B Summit in Tokyo 2017」では、シリコンバレーからベンチャー・キャピタリストやベンチャー企業のトップなどが多数来日、話題の「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」「AI(人工知能)/ビッグデータ」「IoT(インターネット・オブ・シングス)」の3つをテーマに、最新のビジネス事情や技術動向などを報告。さらに企業成長のための秘訣や新しい技術を導入する際の課題などについて議論した。

企業システム/SaaS:ベンダーの顔ぶれは大きく変わる

 企業システムおよびSaaS領域をテーマとしたセッションには、米Box COO(最高執行責任者)のDan Levin氏、米Anaplan CMO(最高マーケティング責任者)のGrant Halloran氏、Demisto CEO(最高経営責任者)のSlavik Markovich氏、LinkedInのHead of International and Data ProductsのGiovanni Iachello氏の4氏が登壇した。Boxは、クラウド上の情報共有ツール、Anaplanは企業向けのプランニングツール、Demistoはインシデント対応の自動化プラットフォーム、LinkedInは世界中のプロフェッショナルや企業をつなぐソーシャルサービスをそれぞれ提供する。

写真1●企業システムとSaaSのセッション
写真1●企業システムとSaaSのセッション
撮影:寺尾 豊
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 モデレーターを務めた全米ベンチャー・キャピタル協会(NVCA)会長のVenky Ganesan氏は、パネルディスカッションに先立ち、今後の企業システムでは「ベンダーの顔ぶれが劇的に変わるだろう」と展望した。例えば、企業システムを構成するハードウエアやデータベース、管理システムといった各要素をみると、2000年ころには要素ごとに強いベンダーがいた。ところが、2016年には各要素は細分化され、領域ごとに強い新興企業が登場、すべての要素がAPIでつながるようになりつつあるとした。

 さらに、AIや機械学習の能力が、人間を補助できる水準にまで達したとの認識を示し、人間はより生産的に働けるようになるだろうとの見通しを披露した。

 Ganesan氏から登壇者への質問は、クラウドの重要性など基本的なものもあったが、日本のベンチャー企業に関するものが中心だった。例えば、「グローバル企業を作るにはどうすればいいか」「日本からユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の非上場企業)が生まれるかどうか」といったものだ。

 グローバル企業に成長するためのコツについてBoxのLevin氏は、「国ごとの特徴をつかむこと」「適切な人を採用すること」の2つを挙げた。日本の特徴としては、強力なSIerが存在し、顧客企業はカスタム品を好むと認識しているという。