質問

 チームのリーダーとしてマネジメントを任されるようになりました。自分としては一エンジニアとして頑張りたいという思いもあり、このままマネジャーを続けるかエンジニアに戻るかで葛藤しています。藤本さんのご意見をいただければ幸いです。

回答:やるなら本気でやりましょう

 まず最初に大事なことは、いわゆるチームマネジメントは決して片手間でできるようなものでも、やっていいものでもない、ということです。なので、結論を先に書いてしまうと、葛藤している暇があったら早めにどちらか決めてしまいましょう。まぁ言うのは簡単なんですけどね。

 ものすごく単純な例えですが、エンジニアとして10台のサーバーで一つのタスクを分散処理したり一つのシステムを動かしたりするのと、マネジャーとして10人のチームメンバーを一つのゴールに向かってまとめ上げて走り続けることの、どちらが簡単でしょうか? 前者を簡単と言うつもりは全くありませんが(前者も十分に難しいことが多いのですが)、後者も相当に難しい、というのも想像に難くないと思います。

 というか当たり前なのですが、人間は機械に比べてはるかに複雑な上に、日々内的なコンテキストも外的な環境も変化するので、チームとして上手に連携して最高の結果を求めていきましょう、ということを考えると手を尽くしても尽くし切れるものではありません。

 ですので、今までにも多くのマネジメントに関する書籍が執筆され、多くの研修が開催され、多くの失敗が繰り返されてきているわけです。さらに言えば、その中でもエンジニアリングを司るチームのマネジメントは難しい部類に入ると、個人的には思っています。

 エンジニアリングはもちろん専門的なスキルですし、幅も広く奥も深く、一人の人間が全てを理解するのは現実的に不可能だよねー、という難しい領域ですが、マネジメントに関しても同じく専門的なスキルであると理解しておくことはとても大事なことです。

 設計をきちんとせずに、あるいはアルゴリズムも知らずに雑に実装したシステムがしばしば正しく動かないように、いい加減なマネジメントはチームを不幸にしますし、逆にちゃんと知識と経験を積み重ねれば、成功する確率は上がっていく、と個人的には思っています(それでもなかなかうまくいかないことも多いですけどね)。