Bluetooth方式と超音波方式が競う

 ビーコン技術には、アップルのiBeacon規格に加えて、タグキャストが2012年から独自に開発を進めてきた「Tagcast」やNTTドコモが開発した「Air Stamp」がある。iBeaconとTagcastはBluetooth技術を、Air Stampは独自の超音波認識技術を使っている。同じBluetooth方式でもiBeaconは規格に基づき多くのベンダーが製品を提供するのに対し、Tagcastはタグキャスト自身が送信機のレンタルを含めてサービスとして提供するなど利用形態が異なる(図1)。特徴や自社の利用目的を踏まえた導入の検討が欠かせない。

図1●狭い範囲でスマホ利用者の動線を検知できる主要技術の特徴
図1●狭い範囲でスマホ利用者の動線を検知できる主要技術の特徴
Bluetooth技術や超音波技術を使ったものがあり、特徴が異なる。
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 iBeaconはITベンダーなどから送信機や管理ツールなどを購入して送信機を店舗などに設置・管理する必要がある。アプリに情報を提供する公開サーバーも必要だ。

 これに対してタグキャストは、送信機のレンタルサービスと端末の位置情報を管理するクラウドサービスをセットで提供する。2014年7月にサービスを開始した。送信機1個の貸出料金は月500円で、位置情報を参照できるクラウドサービスは無料である。

 この仕組みは、送信機の設置企業とアプリの提供企業が異なる場合も想定している。例えばTagcastを試験導入している東京都の墨田区観光協会は、スカイツリー周辺の商店街などに送信機を設置して、地域振興への活用を検討している。有志が開発する地域観光向けアプリがTagcastに対応すれば、大きな投資をすることなく、「観光客の動線を地元商店街にも誘導するという目的が達成できる可能性がある」(広報担当課メディアプロデューサーの友野健一氏)と話す。

 このほかAir Stamp方式は、ショッぷらっとなどNTTドコモのサービスで利用するのが基本だ。ただしシステムの外販も始まっており、JR東日本などで実績がある。