ASEAN地区に属する、タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、ミャンマーにおけるLED照明の今後についてシリーズでお伝えします。今回はその第1弾としてタイ編をお届けします。

 LED照明器具、ランプの次の市場はどこになるのか。各社販売拡大のために次の市場を模索している。その中で、経済成長が続くASEAN地区が有望な地域であることは間違いない。ASEAN地区でもタイが最も早い動きを見せており、2014年5月に行われた展示会を通じて状況を探った。

 タイのLED照明市場については各社とも口をそろえて、「この1年で大きくマインドが変った」という。それを象徴するかのように、街なかのホームセンターでの照明ランプコーナーの約40%程度が、LEDランプになっている。マーケットリーダーは市場面でも、コスト面でもオランダのロイヤル フィリップスである。そこに中国企業や韓国企業が戦いを挑んでいる形だ。もちろん、日本企業も傍観しているわけではない。既存照明からLED照明に入れ替わる転換点では、日本でも起こったように産業構造の変革チャンスをどのように狙っていくのか注目される。

政府の強力な推進策で2013年の普及率は16%に

 タイ政府は2011年8月に「Thailand 20-Year Energy Efficiency Development Plan (2011-2020)」を策定している。2030年に向けてエネルギー生産効率を上げて、エネルギーの経済効率*1(Energy Intensity)を2020年には2010年比で25%の削減を目指す。そこでは再生可能エネルギーの導入はもちろんのこと、LED照明に関するプロジェクトが10種類も立ち上がっている。

*1:エネルギーの経済効率とは、エネルギー当たりの生産金額になる。一つの国で見たとき、その国のGDPをエネルギー消費量で割ったモノとなる。

 主な動きとしては、(1)2012年から開始した街路灯設置政策、(2)一般消費者向けに販売される省エネ製品のリスト化(ラベリング「Energy Labeling『Label No.5』」)*2、(3)エネルギー省の関連公社であるタイ発電公社(EGAT)が積極的にLED照明のPR活動を実施すること、などが挙げられる。

*2:Energy Labeling『Label No.5』では、MR16タイプのLED照明が2013年、T8タイプおよびParタイプのLED照明が2014年にリスト化された。
写真1●タイ発電公社(EGAT)によるEnergy Labeling 「Label No.5」の説明
写真1●タイ発電公社(EGAT)によるEnergy Labeling 「Label No.5」の説明
(写真:Granage LLP)