本特集では、国内ICT市場にいまどのような変化が生じているかを定量・定性の両面から解説している。第1回(規模は横ばい、「第3のプラットフォーム」への主役交代が進む)は国内ICT市場動向、第2回(最新ICTに乗り遅れるな! 国内製造・流通に不可欠な抜本的改革)は製造・流通業、第3回(コグニティブ、FinTech、情報系共同化---攻めのICT活用に転ずる金融機関)は金融機関の動向を見てきた。

 最終回となる今回は、少し目先を変えて地域活性化のために第3のプラットフォームをどのように活用すればよいかに触れてみたい。

東京五輪を機に、ICTで都市の魅力を高める

 2020年の東京オリンピック開催に向けて、東京を中心とした首都圏ではICTを活用して魅力ある国際都市に生まれ変わるための構想を練っているところだ。

 既にソウルや釜山、香港、シンガポールといったアジアの様々な都市では、ICTを活用したスマートシティプロジェクトやスマートネーションプロジェクトが進行している。クラウド基盤を整備し、ビッグデータやIoT(Internet of Things)の活用を可能にして、国際競争力のある企業や優秀な人材、新産業を生み出す可能性のある研究拠点やベンチャーなどを世界各国から集めることを狙う。

 こうした各都市の取り組みにより、誘致された企業が「戦略的IT投資」を即座に実現できるようになるだけでなく、誘致による海外からの移住者を含めた住民向けのサービスを充実させることも可能となる。