本特集では、国内ICT市場にいまどのような変化が生じているかを定量・定性の両面から解説している。

 前回(規模は横ばい、「第3のプラットフォーム」への主役交代が進む)は、国内ICT市場動向を紹介した。クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、モビリティ、ソーシャル技術からなる「第3のプラットフォーム」、さらにIoT(Internet of Things)をはじめとする新たなデジタルテクノロジーが今後の主役となることがお分かりいただけたと思う。

 今回は第3のプラットフォームの活用を事業成長に結びつけるために、製造業と流通業が何をすべきかを中心に見ていく。

第3のプラットフォームを活用しているのは一部の部門

 企業にとってのICTは、これまでのようにIT部門が管理する基幹システムだけに使われる技術ではなくなっている。前回見たように、ICT市場の主役は第3のプラットフォームやIoT技術などの先端デジタルテクノロジーに移りつつある。これらが企業価値向上をもたらすために不可欠な存在となりつつあるからだ。

 多くのグローバル企業は現在、こうした先端デジタルテクノロジーを活用して、事業成長をもたらすための取り組みを強化している。日本でも経済産業省が2015年5月、日本企業の戦略的IT利活用促進に向けて、東京証券取引所と共同で「攻めのIT経営銘柄」を選定し公表するなど、ICTを戦略的に活用する動きは、日本企業においても本格化し始めている。