近年のICT市場では、クラウドやビッグデータ/アナリティクス、モビリティ、ソーシャル技術、IoT(Internet of Things)といった新たなテクノロジーが次々に生まれている。企業はこうした最新のICTを効果的に活用して、事業成長に結びつけていくことが要求される。

 本特集では4回にわたり、国内ICT市場にいまどのような変化が生じているかを、定量・定性の両面から見ていく。今回は、海外と比較しながら国内ICT市場動向を紹介する。

 日本のICT市場に対して、規模的な成長はあまり期待できない。ユーザーによるICTの活用が停滞しているわけではなく、規模が拡大しないなか、ICT市場で大きな構造変化が起きていることを意味する。

 すなわち、従来のクライアント/サーバーシステムを中心とする「第2のプラットフォーム」に代わり、クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、モビリティ、ソーシャル技術からなる「第3のプラットフォーム」、さらにIoTをはじめとする新たなデジタルテクノロジーが主役となり、国内ICT市場をけん引していくのである。

2015年は前年比マイナス1.0%、今後も横ばい

 まず、2015年の国内ICT市場を見てみよう。IDC Japanは、市場規模を約25兆4400億円と予測している。前年比成長率で見ると、昨今の景気回復基調にもかかわらず、マイナス1.0%となる。

 主な要因として、ICT市場全体の約6%を占めるPC市場において、2014年4月のWindows XPのサポート終了に伴う更新需要増の反動が大きく響いていることが挙げられる。加えて、PCのマイナス幅を埋めるほど大きく成長しそうな製品が他に存在しないことを意味している。

 今後の国内ICT市場も横ばい傾向が続くとみられる。2014年から2019年の動きを年平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)で見ると、0.1%とほとんど変化がない。今後数年の間に量的成長はほぼ期待できないことになる。