2018年までに、各産業界のトップにいる20社の3分の1にあたる7社は、「産業特化型ITソリューション」を構築できずにその地位から脱落する――。IDCでは、産業界が根底からの変革にさらされるという近未来を予測している。

 産業特化型ITソリューションとは、IDCが提唱する4つの技術、すなわち「モビリティ」、「クラウド」、「ビッグデータ」,「ソーシャル技術」で構成する「第3のプラットフォーム」上に構築される、それぞれの産業に特化したITソリューションのことだ。その実現を推進するのは、自社が保有するビッグデータの価値に気づいたエンドユーザー企業であるとIDCは予測している。本稿では、この産業特化型ITソリューションがもたらす変革について解説する。

産業特化ITソリューションが生む「アマゾニング」とは

 クラウドなど第3のプラットフォーム(図1)を使い産業特化型ITソリューションを構築する動きが、米国で急拡大している。その一例が、次世代遺伝子解析の「シーケンサ(遺伝子配列解読装置)」を手がけるIllumina社の「BaseSpace」と呼ぶクラウドプラットフォームである。同社は遺伝子解析を行う研究機関でもある多くの顧客企業から、シーケンサが発する大量の出力結果を保存するストレージスペースがないため預かってほしいという要望を受けた。

 取締役会でこの問題を検討した結果、シーケンサ事業ではないサービス事業への進出を決定し、クラウド上に遺伝子解析のためのプラットフォームとマーケットプレースを構築することとした。BaseSpaceでは世界の主要な遺伝子解析ソフトウエアを利用できるパブリック/プライベートのクラウドサービスを研究目的で提供する。

図1●第3のプラットフォームと産業特化型ITソリューション
図1●第3のプラットフォームと産業特化型ITソリューション
出典:IDC
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