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 5回にわたって「『PCレス』でらくらく情報処理術」という趣旨で、パソコンがなくても様々な作業を手軽にできることを説明してきた。パソコンは持ち運びしづらく、起動に時間がかかる。普段のお手入れもしっかりやらないと、動作が重くなるなど「ゴキゲンナナメ」になったりもする。

 だが、長い文章を書くには、やはりパソコンのキーボードと大きな画面の便利さは捨てがたい。長い文章をスマホで入力しようとすると大変である。スマホの小さい画面に表示されたソフトウエアキーボードでちまちまと文章を打とうとしても、打ち損じが多くなる。

 筆者はBluetoothキーボードを併用することもあるが、時々接続がうまくいかない。スマホをスタンドに固定するなど物理的な置き方にも工夫が要る。

 ノートパソコンを持ち出すのも面倒だという場合の最適解は何だろうかと考えた。すぐに取り出して作業にかかれて、しかも打ちやすいハードウエアキーボードでどんどん文章を入力できて、終わったらすぐにしまいたい。書いた文章は簡単にクラウドなどに送れれば、なおありがたい。

 パソコンもスマホも「帯に短し、たすきに長し」という場合、どんな手段があるのかと考えてみた。

高速バスで見かけた「ポメラ使い」

 2~3年前ぐらいだろうか。筆者が住む信州・松本から上京するため乗った高速バスで隣同士になったビジネスパーソン風の男性。バスに乗っている時間も惜しいらしく、資料を見たり、メモを取り出したりして、何かの企画をまとめようとしていた。

 そしておもむろに取り出したのが「ポメラ」だった。文具メーカーのキングジムが販売しているテキスト入力専門の端末だ。折りたたみキーボードに小さな液晶ディスプレーが付いている。

 筆者はポメラに興味はあったが「パソコンもiPhoneもあるからいいかな」と思い、実際に触ったり使ったりしてみたことはなかった。

 折りたたまれたポメラ、すなわち目の前の四角い塊、タバコ2個分ぐらいの物体を、彼は手で開く。まるで映画『トランスフォーマー』のように、液晶が付いたキーボードに変貌した。そこまで数秒。右にあるスイッチを押して、すぐキーボード入力を始めた。