写真1●エンタープライズビジネス担当の小原琢哉執行役専務
写真1●エンタープライズビジネス担当の小原琢哉執行役専務
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 ナデラ氏が打ち出した戦略やメッセージを日本MSの幹部はどう受け止め、具体化するのか。ハウザー氏と同じ部門で国内の大手企業を担当する執行役専務の小原琢哉氏は、「ユーザーのニーズとクラウドOS戦略は合致している」と、ナデラ氏の戦略が日本市場でも有効だと述べた(写真1)。

 他社製品の排除ではなく、あらゆる製品を取り込む方針を強く打ち出していることも支持する。「Office for iPadでは、iPadを否定してシェアを奪回することではなく、Officeを武器にしてクラウドで利益を上げられる。そこからAzureやSQLサーバーといったMS製品で周りを固めれば、いずれは端末もWindowsに回帰するといったシナリオが描ける」。

 小原氏は2015年度の重点分野としてAzure、Office 365、Dynamics CRM Onlineの3点セットを挙げた。「OfficeはオンプレミスからOffice 365への移行を促し、CRM Onlineと連携させる。AzureはクラウドOSの視点に基づきプラットフォームとなり、ユーザーのアプリをクラウド化しながら、他社のアプリも取り込んでいく」。

鍵はIoTやデータ分析

 企業によるMSのクラウド採用拡大の鍵を握るのは、IoTやデータ分析だという。「IoTやデータの分析といったソリューションを打ち出すことで、ユーザーにMSのクラウドの利点が響きやすくなる。ISSを活用した英国のロンドン地下鉄のような事例を国内でも早く作りたい」(小原氏)。

 クラウドOSとパートナーとの関係を生かすというナデラ氏のビジョンは、ユーザーが満足できるソリューションの実現につながると小原氏は述べる。「3年程度の時間軸で企業のシステムを構築するという全体像を描けるのは、デバイスからサービスまで全て網羅しているMSしかないはず。さらに、パートナーとの協力によるカスタマイズにより、ユーザーのニーズにマッチしたソリューションを実現できる」。

写真2●ゼネラルビジネス担当の高橋明宏執行役常務
写真2●ゼネラルビジネス担当の高橋明宏執行役常務
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 国内の中小企業向けビジネス部門を統括する執行役常務の高橋明宏氏は、ナデラ氏が強調する生産性の向上に焦点を当てて、CRM Onlineに注力すると話した(写真2)。「Office 365の普及でグループウエアの強化はある程度進んだ。次は生産性に直結する顧客との関係を高めるというメッセージで、CRM Onlineを拡充していく」。