米マイクロソフトのパートナー企業向けのカンファレンス「WPC 2014」(関連記事:ナデラCEOが見せたMSリストラの本気度、ビッグデータ活用に向けセキュリティ重視)で、サティア・ナデラCEO(最高経営責任者)は、「プロダクティビティ(生産性)&プラットフォーム」をキーワードに変革を強く訴えた(写真1)。

写真1●WPC 2014で「クラウドOS」のビジョンや生産性向上の重要性を解説する米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO
写真1●WPC 2014で「クラウドOS」のビジョンや生産性向上の重要性を解説する米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO
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 戦略の核に据えたのは、「クラウドOS」。これは、パブリック、プライベート、ハイブリッドという三つの形態に対応できるクラウドサービス「Azure」をプラットフォームとし、ここに米オラクルや独SAPなど企業向けの主要アプリを取り込むオープン志向の戦略だ。

 Azure上ではWindowsに限らず、Linuxも動く。従来の垣根を取り払い、どんなアプリでも動作可能にする。ユーザー企業は、プライベートクラウドを利用しつつ、一部のアプリをパブリッククラウドで動作させるなど、柔軟にプラットフォームを利用できる。

 一見すると、オープン志向だが、その裏にはあらゆるアプリのベースとなるプラットフォームのOSをMSが握り、クラウド市場を総取りしようという壮大な野望が透けて見える。

 ナデラ氏はクラウドOS推進の鍵として、Azure上に取り込んだアプリやデータをシームレスに連携させて、個人や組織の生産性を高めることの重要性を強調した(関連記事:[WPC 2014速報]米MSのナデラCEOがパートナー初お目見え、機械翻訳などのデモで歓声)。例えば企業が使うアプリや売り上げなどの重要なデータを、Azure上のデータ分析や機械学習ツールと連携させて、企業の売り上げ増につなげるといったイメージだ。

OSの定義をクラウドに展開

 「クラウドOS」では、アプリの設置場所がプライベートクラウドでも他社のクラウドサービス上でも、1台のコンピュータのように扱えるようにする。クラウド分野で米アマゾン・ドットコムや米グーグルに先行されるMSは、現時点で唯一、パブリック、プライベート、ハイブリッドという三つのクラウドを提供していることを強みとして打ち出した。

 クラウドOS上では、独SAPや米オラクルのアプリやサービスが動作する。MSが用意した「Azure Gallery」から、他社が提供するアプリを含めてユーザー企業が利用できる(写真2)。

写真2●Azure上でMSやソフトウエアベンダー製のアプリケーションを仮想マシンとして利用できる「Azure Gallery」
写真2●Azure上でMSやソフトウエアベンダー製のアプリケーションを仮想マシンとして利用できる「Azure Gallery」
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