2003からの移行先として、オンプレミスでのOS更新だけでなく、クラウドも選択肢に加えたい。“2003の時代”は多くのシステムを自前で構築する必要があったが、今は必ずしもそうではない。

 オンプレミスかクラウドかを問わず、まずは移行先OSを決める。Windows OSの選択肢には、Windows Server 2008と同 2012の二つがある。サポート期間で見ると、2008が2020年1月までなのに対して、2012はそれより3年長い2023年1月まで使える。ロート製薬は、既存アプリの継続利用、OracleDatabaseのアップグレード回避といった理由から、基幹系の移行先として「Windows Server 2008 32ビット」を選んだ。

 こうした移行制約が無ければ、2012を選んだほうがサポート期間の面で有利だ。新たに2012のライセンスを購入することが負担になるユーザーに対して、日本マイクロソフトは、出荷価格から10%割引で2012のライセンスを提供するキャンペーンを9月30日まで実施している。

 2003からの移行を機に、サーバー仮想化も検討したい。先述したように、サーバー仮想化はOSのサポート終了回避策にはならないが、サーバーの利用効率を上げたり、最新ハードやクラウドへの移行が容易になったりする、というメリットがある。

クラウドとオンプレを使い分ける

 移行先はどう使い分けるのか、サンリオの例を見よう。

 2003からの移行に当たり、サンリオは「全体最適」を基本方針に置いた。大畑氏は「選択肢がいくつかある中、“今までこうだったから”“以前の担当者がそうしていたから”と考えるのではなく、常に全体最適の観点で考えることが重要」と話す。