日本プロフィバス協会会長の元吉伸一氏は2014年7月10日、「第3回 Ethernetが変えるクルマの世界~鉄道、産業機器にも拡がる~」(主催:日経エレクトロニクス)に登壇し、「産業用Ethernetに求められる機能」と題して講演した。

講演する元吉氏
講演する元吉氏
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 工場のFA(factory automation)やPA(process automation)では、複数メーカーの機器が混在するため、そうした多様な機器を監視・管理できるオープンな通信が求められる。そうした通信ネットワークとして、1990年代にはRS-485ベースのフィールドバスが採用されるようになった。元吉氏らが研究するPROFIBUSもその一つだ。しかし、Ethernet技術の進展に伴い、2000年ごろからEthernetをFA/PAに適用することが検討されるようになった。

 元吉氏は、産業用Ethernetに必要な条件として、物理的な信頼性、リアルタイム性、冗長化、安全性の4つを挙げる。講演では、これらの要件を満たす方法を、PROFIBUSを例にとって紹介した。

 物理的な信頼性については、芯線を金属で被覆するシールド付きケーブルを用いることで、ケーブル強度を増すとともに雑音耐性を上げている。また、コネクターはプラスチック製よりも抜けにくく、雑音耐性の高い金属製を用いる。

 リアルタイム性については「決められた時間内にデータが必ず到達すること」と定義。PROFIBUSネットワークでは、周期が10m秒程度のRT(Real Time)通信機能をソフトウエアで実装する。IEEE802.3準拠の標準電文フォーマットを採用し、優先度を定義することで、RTのフレームが非RTデータよりも高い優先度で処理されるようにするものだ。また、ASICなどの専用ハードウエアを導入することで、通信周期が1m秒以下で、ジッターが1μ秒以下のIRT(Isochronous Real Time)通信を実現する。