JASPARは、車載電子制御システムのソフトウエアや通信ネットワーク技術の標準化などを目指す団体だ。2004年9月に国内の自動車メーカーや部品メーカーが立ち上げた。この団体で車載Ethernet関連の技術要件を検討しているワーキンググループが「次世代高速LAN WG」である。

JASPAR「次世代高速LAN」検討、実機検証段階に

 7月9日に開催された「第3回 Ethernetが変えるクルマの未来」の講演「JASPARが進める車載Ethernet標準化への取り組み」に、同WGのチームリーダー2人が登壇し、今春にソフトウエアとハードウエアの要件定義書のドラフト版をまとめたWGの活動概要をそれぞれ紹介。実機での実証実験に取り組み始めることを明らかにした。

ソフトウェアチームリーダーの渡辺氏
ソフトウェアチームリーダーの渡辺氏
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 ソフトウェアチームリーダーの渡辺芳樹氏(日本精機 R&Dセンター開発部)は、「Ethernetをリアルに使う場面にフォーカスするため、体制を変更しながら検討を進めている」と語った。具体的には、この1年ほどで用途に合わせたソフトウエアのプロファイルや、要素技術を検討するサブチームなどを設けたという。

 例えば、要素技術の検討チームは、車載カメラシステムでの応用をにらんで、「スリープ/ウェイクアップ方法」などの省電力化や、故障検出機能、起動時間の短縮などを優先事項として検討している。今後は、実機検証や、スイッチを含む1対多のネットワークで構成するカメラシステムの要件定義の検討を進めていく。

ハードウェアチームリーダーの加来氏
ハードウェアチームリーダーの加来氏
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 ハードウェアチームリーダーの加来芳史氏(デンソー 基盤ハードウエア開発部 車載通信技術開発室)は、同チームが「PHY/MAC」や「通信品質」「回路部品」など5つのサブチームで活動していると話した。それぞれのサブチームが要件定義書の文書化に取り組んでいるという。