「アップルの優越的地位の乱用は目に余る状態。キャリアや総務省、経済産業省は、忌々しく思っている」――。ある業界関係者は筆者にこう語った。

 人気端末のiPhoneに関し、キャリアに対するアップルの強引な販売要求を問題視した発言だ。今回、総務省がSIMロック解除義務化の方向性を打ち出した一因として、アップルに対する霞が関やキャリアの「意志」が少なからず働いているというのだ(写真1)。

写真1●米アップルのiPhone
写真1●米アップルのiPhone

 なぜ、アップルの強引な販売要求とSIMロック解除の義務化が関係しているのだろうか、その疑問に答える前に、SIMロック解除義務化によるユーザーへの影響やそこに至る背景を理解しておきたい。霞が関やキャリアがiPhoneを狙い撃ちしなければならない日本のモバイルを取り巻く現状が浮き彫りになる。

2015年にも義務化されるSIMロック解除

 2014年に入って、それまで停滞していたモバイル分野の競争政策が爆音を響かせながら進撃を開始した(ように見える)。現内閣が推進する成長戦略に基づいた数々の提言が自民党の代議士たちを動かし、官僚の尻を叩いているのだろうか。

 中でも、ユーザーの関心も高く、競争政策の一丁目一番地とも言える携帯電話のSIMロックの解除が2015年にも義務化されるという。2014年6月30日に総務省が開催した「ICTサービス安心・安全研究会」の「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」で提示した「中間とりまとめ(案)」でSIMロックの解除について言及している。

 そうなると、ユーザーとして真っ先に気になるのは、解除義務化後のスマートフォン(スマホ)生活の有り様だ。特に、新規契約・MNP(携帯電話の番号ポータビリティ)や機種変更時の初期コスト、あるいは月々の通信料金といった出費への影響がどうなるのか知りたくなる。