自宅で使っているMacのデスクトップ機を約9年ぶりに新機種に入れ替えた。2017年6月発売のiMac 27インチ 5Kディスプレイである。本コラムでは、レガシーなペリフェラルとの決別を余儀なくされた悲喜こもごものストーリーを交えつつ、極めてパーソナルな新iMac導入記をつづってみたい。前編と後編の2回に分けてお届けする。

27インチのLED Cinema Displayが収まっていた場所に、新しいiMacをそのまま設置した。下部のベゼルが広い分だけ少しだけ背高になった
27インチのLED Cinema Displayが収まっていた場所に、新しいiMacをそのまま設置した。下部のベゼルが広い分だけ少しだけ背高になった
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Mac Pro Early 2008を9年余も使い倒した理由

 これまでMac Pro Early 2008を9年余も使い続けてきた。ただし、このレガシーなMac Proだけを使っていたわけではない。2000年代後半から出先での録音の仕事が増えてきたこともあり、モバイルレコーディングの体制を整えるためMacBook ProのMid 2009、Mid 2012、Retina DisplayモデルといったノートPCを都度使っていた。

15インチと13インチのMacBook Proを使った録音環境。このときはハイレゾ音源のPCMとDSDという異なるフォーマットを同時に録音したので、マイクからのケーブルを分岐しパラレルで収録した
15インチと13インチのMacBook Proを使った録音環境。このときはハイレゾ音源のPCMとDSDという異なるフォーマットを同時に録音したので、マイクからのケーブルを分岐しパラレルで収録した
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 だが、自宅の据え置き機はこのMac Proを使い続けていた。Mac Pro Early 2008は、4コアのXeonプロセッサを2基搭載し、PCI Expressも従来比で2倍の帯域をほこる、とてもバランスの取れた機種だった。内蔵ハードドライブ(2TBを4台)やメモリー(16GB)の増強に加え、2010年のLED Cinema Display(27−inch)の導入を機にビデオカード(NVIDIA GeForce GT 120 512MB)の交換などを行いながら、最新のOSがサポートされる限り使い続けようと決めていた。

 結局、2015年発表のOS X El Capitan(v10.11)を最後に最新OSのサポートは終了した。仕事場で使っていた2006年の初代Mac Proが、2011年のOS X Lion(v10.7)で早々とサポートが打ち切られたことを思うと、El Capitanまで持ちこたえたMac Pro Early 2008は天寿を全うすることが許された機種だったわけだ。

 音楽制作業という仕事柄、主に音の録音・編集(Avid ProTools、Logic Pro X)、CDなどの印刷物(Adobe InDesign、Photoshop、Illustrator)、動画編集(Final Cut Pro X、Adobe Premiere Pro)、業務管理(Microsoft Office、FileMaker Pro)などに利用している。OSのバージョンアップともにソフトウエアをアップデートするにつれ、さすがに荷が重くなり、近年は作業中にストレスを感じることも多々あった。