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山崎潤一郎のデジタル危険地帯

AppleとSpotifyはCDの「音圧戦争」を過去のものにするか?

山崎 潤一郎=ITジャーナリスト 2017/04/07 ITpro

 「Spotify」を始めとする幾つかのストリーミング系の音楽サービスが「ラウドネス基準」を導入し、音楽の音量を強制的に均一化(ノーマライズ)して音源を送出しているという情報がある。

 「ラウドネス」というのは、主に人間が感じる音の強さや感覚量のことを表している。VU(音量)メーターが示す値は同じでも、低音と比較して高い周波数の音は人間の耳に大きく感じる場合が多い。また、音圧が高く音量感に富んだ音を第一印象で「良い音」として知覚する傾向にある。

VUメーターのソフト
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 CDやダウンロードに代わりストリーミング系サービスの存在感が増すなか、音圧を稼いで「目立ってリスナーの気を引く」ことを主眼に置いたCD主体の音づくりが、ラウドネス基準の導入により、アーティストや制作者の意図しない形で音源をリスナーに届けてしまう可能性がある。

 今回は、本格的なストリーミング配信時代を迎えた今、ラウドネス基準が音楽に与える影響や課題などを取り上げる。

「CMは音が大きい」という苦情に配慮したデジタルテレビ放送

 「Loudness War」(音圧戦争)という言葉がある。リスナーの第一印象に訴えかける効果を狙い、音楽の制作過程においてデジタル処理により競って音圧を上げることを揶揄した言葉である。音圧が高ければ、パッと聴いたときに派手さが増し、良い音に感じる場合が多いため、他の音楽との比較で聴く人の注意を喚起することができる。その一方で、ダイナミックレンジ(音量の最大値と最小値の差分)が狭くなるため躍動感や抑揚感が失われる場合が多い。絶えず大きな音量感にさらされるため、長時間の聴取で疲労を感じることもある。

 アナログ時代のテレビ放送を思い出してほしい。コマーシャルになると音が大きくなり、リモコン操作でボリューム下げた経験があるだろう。あれは、スポンサーなどが自社のCMを他と比較して少しでも目立たせ注意を引こうと、高音を強調する処理をしたり音圧を上げたため、本編との間で音量感のバラツキが生じたために起こった現象だ。

 放送局側は、VUメーターによる「ゼロVU」以下というを規定を設けていたのだが、ポストプロダクションなどの手だれの音響エンジニア達は、技術を駆使し既定値内に収まる形で音圧稼ぎの処理を行っていた。当時、放送局にはCMの音量に対する苦情が頻繁に寄せられていたらしい。

 そこでテレビ放送のデジタル化を機にITU-R(国際電気通信連合・無線通信部門)がラウドネス規格を勧告し日本では電波産業会(ARIB)が「デジタルテレビ放送におけるラウドネス運用規定」を策定、NHKや民放各局はARIB規定に基づいた音声レベルの管理を導入している。なるほど、今ではCMの音が大きいと感じることは少なくなった。

 ゲーム機の業界もこの動きに反応した。ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)が「Audio Standards Working Group(ASWG)」を発足、2013年にラウドネス基準を決めている。「Game Audio Podcast」というブログに、ASWGが勧告した際のPDFが公開されている。

参考資料:Recommendation ASWG-R001

 ITU-Rは議論の末、主観要素の大きい「音量感」を専用のアルゴリズムを設計することで「ラウドネス値」として定量化した。「LKFS」(Loudness, K-weighted, relative to Full Scale)という単位を使う。LKFSはLUFS(Loudness Units relative to Full Scale )と表記する場合もある。

 放送業界は「−24LKFS」、ゲーム業界は、家庭用機器「−24LKFS」、ポータブル機器「−18LKFS」をそれぞれ規定・推奨している。数字が大きくなるほど音量感が増す。ポータブル機器の値を大きく設定しているのは、スピーカーが小さいことやアウトドアでの使用を考慮したためだ。

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