前回、NTTドコモが2015年2月からの開始を予定している「ドコモ光」(通称セット割)を取り上げ、同サービスの固定インフラを受け持つNTT東日本・西日本の「サービス卸」について解説した。後編の今回は、ドコモ光の実像に迫りたい。

 NTTドコモは携帯電話部分のサービスに、既存の家族向けの料金体系である「シェアパック」を組み入れると発表しているが、その内容にそれほどの目新しさはない。そうなると、固定回線部分の提供形態がドコモ光の成否占う鍵になる。そこで、本稿では固定回線からの視点でドコモ光を検証することにした。

 今回検証したのは、ドコモ光の登場が現在のサービスに与える波紋だ。具体的にはプロバイダーサービスの利用形態(従来のプロバイダーを選ぶのと他のサービスを選ぶのとではユーザーにどちらのメリットがあるか)、契約時の窓口での混雑状況、サービス料金、そして従来のキャッシュバックとの競争力についてだ。2015年1月23日時点で明らかになっている情報から推測してみた。

ネット接続は、バンドルタイプとアンバンドルタイプの2形態

 まず、ドコモ光のインターネット接続事業者(プロバイダー)に関わる話から始めよう。

 ドコモ光のユーザーに固定回線部分のインターネット接続サービスを提供する役割を担うのは、原則としてNTTドコモではなく既存のプロバイダーだ。つまりドコモ光のユーザーは、NTTドコモとプロバイダーの2カ所と契約を結ばなければならない。このあたりは、従来のフレッツ光と変わらない。

 ここだけ聞くと、光回線部分とインターネット接続サービスが「ぶつ切り」で提供されるフレッツ光と変わりがないように見える。モバイルと固定がセットで提供されるセット割の意味が分からず不思議に思うかもしれない。

 ただ、この状況はあくまでも紙面の契約上の話。ドコモ光を利用する際にユーザーがアクセスするのは、固定回線部分の込み入ったトラブル対応などを除き、NTTドコモだけのケースとなるのがほとんどだろう。

 ドコモ光は、フレッツ光のようなぶつ切り提供のデメリットを解消する仕組みを取り入れている。それが、NTTドコモが既存のプロバイダーからインターネット接続を仕入れ、ドコモ光に組み入れてワンストップで提供する仕組みだ。