クーポン共同購入モデルで一世を風靡した米グルーポンが、浮き沈みを繰り返しつつも成長を続けている。グループ連結のクーポン売上高は、直近の四半期(2014年4月~6月)で18億2000万ドルと、前年同期比29%増だった。

 同社は2011年に、事業モデルを大きく転換している。従来のクーポン共同購入モデルは、クーポンの購入に必要な最低購買数を設定することで、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などの口コミでクーポン情報の拡散を促すモデルだった。2011年以降は最低購買数の設定を止め、代わりにひとり一人の好みを分析する顧客分析システムを導入、サービスのパーソナライズに注力した。

 世界48カ国でクーポンサービスを展開するグルーポンのデータ活用戦略について、グルーポン・ジャパンの根本啓CEOに聞いた。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ


グルーポンはサービス開始当初、飲食店のクーポンを多く扱っていた印象があるが、今ではどのようなクーポンを扱っているのか。

グルーポン・ジャパンの根本啓CEO
グルーポン・ジャパンの根本啓CEO
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 グルーポンのサービスが目指すのは「新しい発見がある」「生活が楽しくなる」こと。このコンセプトに沿って、当初力を入れていた飲食店のクーポンに加え、美容、宿泊、物販へとクーポンの幅を広げている。米国などではコンサートやイベントのクーポンも手がけており、日本でもいずれ展開したい。

 さらに、他では買えない驚きの体験を提供する「"WOW!"ディール」の開拓にも力を入れている。例えば「キャプテン翼原作者が監督を務める芸能人女子フットサルチームや元日本代表選手と対戦できるクーポン」、「カトリーナ被災地復興支援への寄付250万円の希望者に、抽選でブラッド・ピット氏と対面できるニューオリンズの旅をプレゼントするクーポン」といったものだ。

グルーポンのクーポンビジネスを支える情報システムの開発体制は。

 グルーポンの情報システムは、Webサイトやアプリを含め、主に米国で数百人のエンジニアが開発し、世界48カ国に逐次展開している。

 こうした共通システムの一つに、利用者ひとり一人にパーソナライズしたサービスを提供できる顧客分析システムがある。2012年に米国や日本などで稼働させた。