米シカゴに本拠を置くクレバーセーフ(Cleversafe)は、数ペタバイト(PB)を超えるようなビッグデータを保管できる「オブジェクトストレージ」のベンダーだ。同社の「Cleversafe」は、日本ではKDDIがクラウドサービス「au Cloud」のストレージ基盤に採用する。クレバーセーフの社長兼CEO(最高経営責任者)であるジョン・モリス氏に話を聞いた。

クレバーセーフはどのようなベンダーか?

写真●米クレバーセーフ(Cleversafe)の社長兼CEO(最高経営責任者)であるジョン・モリス氏
写真●米クレバーセーフ(Cleversafe)の社長兼CEO(最高経営責任者)であるジョン・モリス氏
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 当社は非構造化データを蓄積するための分散オブジェクトストレージを販売するために、2004年にシカゴで起業した。創業者はもともとデジタル音楽の配信事業を目指していたが、米アップルが「iTunes」を始めたため断念した。そこで、デジタル音楽配信のために開発した大規模なストレージを販売するというビジネスに方針転換した。

 非構造化データは、容量が非常に大きくデータに対する更新も多い。Cleversafeはこのようなニーズに対応することを目指している。ストレージの全ての機能はソフトウエアによって実現している。ハードウエアには業界標準のPCサーバーを使用する。

 日本ではCleversafeはKDDIが採用している。日本以外での採用事例もクラウドサービス事業者が中心だ。写真共有サービスを提供する「Shutterfly」もCleversafeのユーザーで、100PB以上のストレージを実現している。

 AWSのストレージサービスである「Amazon S3」を使うユーザーは増えているが、1PBを超えるようなデータを保管するとなるとパブリッククラウドを使うよりもプライベートクラウドを構築した方が安価になると当社は考えている。そのようなユーザー企業がCleversafeを選んでいる。

Amazon S3のようなオブジェクトストレージを実現するための分散ストレージソフトには、様々な種類がある。その中でも、Cleversafeならではの特徴は何か?

 Cleversafeの特徴は、長距離通信の世界で使われる「誤り訂正符号方式」を分散ストレージに採用していることだ。ファイルはまず暗号化した上で、たくさんのスライス(断片)に分割する。このスライスを複数台のサーバーに分散配置する。

 例えばKDDIのケースでは、データは18分割している。スライスには他のスライスのパリティーデータが含まれているため、18個のスライスの内の最低11個があれば元のデータを復元できる。あるスライスを配置したサーバーが故障したとしても、それ以外のサーバーにあるスライスを使ってデータを復元できるという仕組みだ。