前回、Red Hat Enterprise Linux 7(RHEL7)の基本的なインストール方法を解説した。RHEL7ではそのほかにも、いろいろなインストール方法を用意している。ここで、主なものをいくつか紹介しておこう。

(1)テキストモード

 グラフィックスが利用できない場合、あるいはカーネルオプションにinst.textを指定すると、テキストモードのインストーラーを利用することができる。設定手順については、GUIのインストーラーを使ったグラフィカルモードとほぼ同じになる。画面をクリックする代わりに、メニュー番号を入力する形式になっている。

 グラフィカルモードに比べると、LVMシンプロビジョニングや手動でのレイアウト設定ができないなど、一部制約があるので注意が必要だ*3

*3 詳細はインストールガイドの「6.1.2.テキストモードでのインストール」を参照。

(2)ネットワークインストール

 従来のRHELと同様に、ネットワークを活用したインストールも可能だ。

 インストールするパッケージ群を、ftp/http/nfsなどのネットワーク経由で提供できることはもちろん、インストーラーの起動自体もネットワークブート(PXEブート)で行えるようになっている。基本的な仕組や手順はRHEL6と変わっていないが、一部オプションや書式が変更されている*4

*4 詳細はインストールガイドの20章「起動オプション」、21章「ネットワークからのインストールの準備」を参照。

(3)Kickstartインストール

 RHELでは、インストーラーの動作を自動化する仕組みが用意されている。これをKickstartといい、インストール設定を記述したテキストファイルを「Kickstartファイル」と呼ぶ*5

 先に紹介したように、インタラクティブにインストーラーを操作してインストールを行うと、そこで設定した各パラメーターが/root/anaconda-ks.cfgとして保存されている。このファイルをKickstartファイルのひな型とすることができる。

*5 Kickstartの利用方法についての詳細は、インストールガイドの23章「キックスタートを使ったインストール」を参照。

(4)イメージファイルへのインストール

 RHEL7上では、仮想的なディスクイメージに対してRHEL7インストーラー(anaconda)を実行できるようになっている。この機能と、ライブイメージを作成するツール(liveimage-creator)とを組み合わせて、以下のようなカスタムブートイメージを作成することができる*6

・ブータブルISOイメージ(DVD/USB)
・ブータブルHDDイメージ(アプライアンス向け)
・AMI(Amazonマシンイメージ)

*6 カスタムブートイメージ作成の手順については、インストールガイドの24章「ディスクイメージへのインストール」を参照。

(5)公式RHEL7イメージ

 昨今、RHELのインストールといえば仮想マシン、という機会が多いのではないだろうか。RHEL OpenStack Platformなどの仮想化インフラ上でより素早く安全なRHELを利用したいというニーズに対して、レッドハットでは、仮想マシンとしてすぐに実行可能なRHEL7イメージを提供している。Copy-on-Writeフォーマットであるqcow2形式のファイルとなっているので、そのままKVM仮想マシンとして実行することが可能である。イメージサイズは400Mバイト程度とコンパクトだ。

 また、RHEL7で正式サポートされたLinuxコンテナーを活用するために、RHEL7のDockerイメージも配布していまる。いずれもカスタマーポータルからダウンロード可能となっている。