クラウドの進化を踏まえれば、コストやBCPの観点からも、サーバーの自前主義を貫く意義は薄くなっている。メールから企業ポータルまでを統合したSaaSが格安料金で提供され、情報共有やオフィス業務を大きく変えようとしている。

以下ではヤマハ発動機、アイエスエフネット、ハークスレイの3社の事例から、サーバーをクラウドに集約する効用を紹介する。

ヤマハ発動機
クラウドで最大5割のコスト削減

 コスト削減に直結するクラウドの実力を示すのが、ヤマハ発動機が2013年に始動させたプロジェクトだ。2018年までに、本社など国内で運用する社内サーバー600~700台の大半をIaaSやSaaSに移行させる。SaaSに移行するメールなどを除き、大半のサーバーはNTTコミュニケーションズのIaaS「Bizホスティング Enterprise Cloud」に移す。

 従来はサーバー購入や回線契約など直接的な出費だけでITインフラに年間10億円規模を投じていたが、クラウドへの移行で「3~5割の削減ができる」(IT技術戦略グループの和田秀昭グループリーダー)と見込む(図1)。

図1●ヤマハ発動機が2013年からクラウドに移行させているシステムの概要
図1●ヤマハ発動機が2013年からクラウドに移行させているシステムの概要
大地震などを想定したBCPに基づき、国内にあるサーバーは2018年までにCADなどを除きほぼすべてをクラウド化する。
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