「駅ナカ」を中心に飲料事業を手掛けるJR東日本ウォータービジネスは、これまでデータ分析を活用してオリジナル飲料などのヒット商品を生み出してきた。2014年5月に飲料自動販売機のオペレーター(補充担当者)の組織化を発表。現場レベルでデータ活用を促す施策を明らかにした。

 JR東日本ウォータービジネスが分析に使用しているのは、駅構内に設置した飲料自動販売機「アキュア」などから得られるPOS(販売時点情報管理)データだ。2009年から電子マネー決済端末を自販機に搭載。販売した場所や商品の種類といった通常のPOSデータのほか、交通系電子マネーのID番号、「Suicaポイントクラブ」会員の属性を得られるようにした。

写真1●JR東日本ウォータービジネスが「駅ナカ」に展開する飲料自動販売機
写真1●JR東日本ウォータービジネスが「駅ナカ」に展開する飲料自動販売機
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JR東日本ウォータービジネスの笹川俊成取締役営業本部長(左)と祖山智幸取締役業務本部長兼経営計画室長
JR東日本ウォータービジネスの笹川俊成取締役営業本部長(左)と祖山智幸取締役業務本部長兼経営計画室長
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 取得するPOSデータは年間約2億件。そのおよそ半分が、交通系電子マネーで決済される。電子マネーのID番号があれば、リピート分析や併売分析が可能になる。また、Suicaポイントクラブ会員の属性データとしては年齢、性別、郵便番号が得られる。その件数は全体の1割に満たないが「トレンドを見るには十分」(JR東日本ウォータービジネスの笹川俊成取締役営業本部長)だ。電子マネーの利用率が高くなったことから、マーケティング用データとしての質も向上している。

実務担当者がそれぞれの立場で仮説を検証

 JR東日本ウォータービジネスがデータ分析に取り組み始めたのは2010年の冬。2011年8月には、より速く結果を得るために富士通ビー・エス・シーのオンメモリーデータベース「Oh-Pa 1/3(オーパ・ワンサード)」を導入、社内のデータ分析インフラを整えた。データ分析のプロジェクトに参加しているのは実務担当者の半数ほど。営業施策の担当者、オペレーターに指示を出すスーパーバイザー、商品のバイヤー、商品開発担当、販売促進の担当者など顔ぶれは多岐にわたる。