カタログ通販の「セシール(cecile)」ブランドを手がけているのは、香川県高松市を本拠地とするセシール事業部だ。事業のキモである、数百万部ものカタログ発送の最適化や商品開発にデータ分析を活用している。分析を担当しているのはマーケティング本部。ネット関連の分析を除くマーケティングの担当者は約20名。業務システムを担当している情報部門とは独立して、現場が分析用のシステムを管理、運用する。

 カタログ通販では、どのカタログをどの顧客に送るのかが非常に重要だ。現在のセシール事業では、メインの厚いカタログを年4回発行する。さらにその中間にもカタログを3回出す。薄く、コンパクトなカタログは年4回発行する(写真1)。注文が見込めない顧客に分厚いカタログを送り続けるとコストがかさむ。顧客の購買履歴や好みを基に、売り上げを最大化できそうな組み合わせのカタログを送る必要がある。

写真1●セシールが顧客に送付している各種のカタログ
写真1●セシールが顧客に送付している各種のカタログ
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 セシール事業部(以前はセシール)は、そうしたカタログ発送の最適化を長年続けてきた。「分析ツールを導入する前は、顧客の最終購入日と累積購入金額だけで送付するカタログの種類を決めるなど粗いモデルを使っていた」。セシール事業ディビジョンマーケティング本部付の藤川淳氏(写真2)は1990年代の前半の業務についてそう振り返る。

写真2●左からセシール事業ディビジョンマーケティング本部付の藤川淳氏、同マーケティング管理本部の岡英治本部長、同DB戦略部の濱田和彦部長代行
写真2●左からセシール事業ディビジョンマーケティング本部付の藤川淳氏、同マーケティング管理本部の岡英治本部長、同DB戦略部の濱田和彦部長代行
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 顧客情報や商品情報、購買情報など、細かな分析に必要なデータは当時もあった。しかしそれは汎用機で使うテープの中。情報システム部門にデータの抽出と分析に2~3カ月かかる状態で、活用できる形になっていなかった。そもそも当時は、細かなカタログの送り分けをしなくても大きな売り上げを生み出せていたという事情もあった。