昨今、ビッグデータ活用の成功事例が様々な場面で語られている。その適用分野はマーケティングに始まり、サービス向上、リスク管理、製造品質改善、新薬/新製品開発まで、多岐にわたっている。成功の影響は、既存ビジネスの収益向上だけにとどまらない範囲にも広がっている。データ分析の結果やノウハウをマネタイズしたり、データ活用の仕組み作りを新規事業としたりする企業も出現している。

 かつては、IT投資と企業競争力の因果関係に対して、懐疑的な意見を持つ企業が少なくなかった。ところが近年のクラウド、ソーシャル、モバイルの台頭によって事情は大きく変化した。データの取得/分析のコストは劇的に下がり、発想と技術力さえあれば小さなIT予算でもビジネスに役立つデータ分析が可能となったのである。この時代に「ITが収益に役立たない」などと言うと、自らのリテラシーやアイデアの無さを告白していると受け取られかねない。

企業に広く浸透したビッグデータの活用

 実際、IDCのユーザー調査でも、「自社の業態はビッグデータ活用にはそぐわない」と考える企業の割合は年々減っている。ビッグデータの多様な応用例を目にすることで、自社の事業にもデータ分析を新たに適用できる可能性があるかもしれないと考える企業が増えていると推測できる。

 では、既にデータ分析を進めている企業はどのようなデータで活用を進めているのだろう。に示したのは、データ分析の取組みをしている436社に、ビッグデータ分析の対象データについて聞いた結果(複数回答)である。

 自社で元々持っていたデータを分析しているとする回答が半数を超えているが、分析を目的としてデータを収集しているユーザーも多い。さらに社外との提携によってデータを入手しているユーザーも少なくない。社外のデータを入手し分析しているということは、取得コストを上回るメリットがあるものと推測される。データをプラットフォームとした企業連携が進んでいることがうかがえる。

図●企業がビッグデータとして分析する対象データの入手経路
図●企業がビッグデータとして分析する対象データの入手経路
出典: IDC Japan 「2014年 国内ビッグデータテクノロジー/サービス市場 ユーザー調査」
[画像のクリックで拡大表示]