ら・さんたランドは、福島県内5カ所と宮城県1カ所の営業所を拠点に、顧客である個人や企業へ、こだわりのパンの宅配を行っている。同社では「お客様に“健康と幸せ”をお届けし笑顔あふれる家族のお手伝いをしたい」という鈴木勲社長のビジョンのもと、自社オリジナルの「玄米和食パン」などを開発。製造をメーカーに委託し、個人事業主(オーナー)として契約した販売スタッフが車で個人宅や企業を巡回してパンを販売している(写真1、2)。

写真1●販売スタッフがこだわりのパンを車に積んで宅配する
写真1●販売スタッフがこだわりのパンを車に積んで宅配する
写真2●オリジナルの「玄米和食パン」
写真2●オリジナルの「玄米和食パン」

 同社の製品は約40種類のパンのほか、調味料や飲料などの付帯商品が約50種類あり、販売スタッフが宅配に利用する小型車に全てを一度に積み込むことができない。販売スタッフは、担当する顧客のカルテ(販売履歴)をもとに、顧客の好み、家族構成などを考慮しながら、車に積み込むパンなどの種類と数を選定し、宅配を行う3日前までに本社にオーダーする。本社ではそのオーダーを販売管理システムに入力し、全てのオーダーを集計し、仕入先へ一括発注。入荷したパンを販売スタッフに配布するといった業務サポートを行う。

 IT経営の課題に直面したのは2010年のことである。ら・さんたランドは1993年の創業から順調に売り上げを伸ばしてきたが、営業拠点や従業員が増えるに従い、いくつかの課題が顕在化したという。特に本社では、販売スタッフからのオーダー集計などの事務負担が増えて処理が追いつかなくなっていた。創業当時に導入した販売管理システムはWindows 98上で動作するものだった。新たに処理能力の高いパソコンを購入しても、Windowsのバージョンが変わるため、システムが利用できなくなってしまう。