「エネルギーとストレージに続く第3の柱に育てようと、研究開発費を計画的に増やしている」――。東芝が2014年10月30日に開催した同年度上期の決算説明会。ヘルスケア部門の営業利益が前年度同期比で40%近く減った理由を、代表執行役専務の前田恵造氏はこう説明した。

 東芝のヘルスケア事業の売上高は、2013年度で4108億円。これを2015年度に6000億円、2016年度には7200億円に高める考えだ。2014年7月1日にはヘルスケア社を発足させ、グループの総力を挙げて事業強化を図っている(関連記事1同2)。

講演する金澤氏
講演する金澤氏
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講演する金澤氏

 それでは、東芝が目指すヘルスケア事業の姿とはどのようなものか。光技術のバイオ・医療応用に関する展示会「BioOpto Japan 2014」(2014年10月、パシフィコ横浜)のカンファレンスに登壇した金澤博史氏(東芝 ヘルスケア社 統括技師長)が、その構想の一端を示した。講演タイトルは「異次元ヘルスケアの創造と実現への取り組み」である。

 金澤氏はまず、先進国での高齢化や生活習慣病の増加、途上国での人口増加などのトレンドを踏まえると、エネルギーとストレージに加え、ヘルスケアが世界規模の課題になると指摘。東芝は「診断・治療」「予防」「予後・介護」「健康増進」という4つの領域すべてにわたって、ヘルスケア事業を展開していくと話した。その際、「ポイントはモノではなく“モノ+コト”を提供すること。つまり、これからはソリューションやサービスに比重を置く。モノ+コトを提供することで、人々がより快適で安心、健康でいきいきと生活できる社会を実現する。これが我々の目指す姿だ」。