スマートフォンにアプリをダウンロードして、患者の体調や服薬状況の管理に活用する例が登場している。これまで紙で運用してきた母子手帳やお薬手帳を電子化して普及させようと、NTTドコモや博報堂、インテル、日本マイクロソフト、ソニー、パナソニックなどそうそうたる企業が、事業化に取り組んでいる。

妊婦の不安をスマホのアプリで解消

 母子手帳をスマホアプリ化する事業を始めたのが、博報堂DYメディアパートナーズとNTTドコモの2社。名称は「妊婦手帳」で、NTT東日本関東病院と共同で実証実験を実施。2013年12月から、iPhoneとAndroid向けに実際にアプリを提供している。この事業に関して、NTT東日本関東病院の産婦人科主任医長である杉田匡聡氏が、7月16日に東京で開催された「ヘルスケア・イノベーション・フォーラム」で、この事業について講演した。

写真1●ユーザーが利用する妊婦手帳の画面
写真1●ユーザーが利用する妊婦手帳の画面
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 妊婦手帳の実証実験は、昨年6月から8月にかけて実施(関連記事:スマホアプリ版母子手帳で妊婦の不安解消、生涯健康データ蓄積のきっかけにも)。「当院の倫理委員会の承認を受けた上で、このアプリをインストールしたスマートフォンを31人の妊婦に2か月間貸し出した」(杉田氏)。アプリの機能は、毎日更新される(1)妊娠週数カウンターと(2)胎児の睡眠リズムなどを知らせるToday's Baby、毎週更新される(3)よくあるQ&A集、(4)病院からの宿題などの形で提案されるTo Doリスト、(5)毎日入力する妊婦の体調(気分、体重、睡眠、便通、つわりなど)、(6)随時配信する病院からのお知らせとなっている(写真1)。

 利用者を対象に調査したところ、6割以上が「妊娠・出産の不安が軽減した」「病院に対する満足度が上がった」「妊娠・出産に関する知識が深まった」と回答。「ネット検索をしなくても必要な情報を取得できた」「電車の中でも知識が得られた」「病院を通じての情報なので信用できた」という意見もあった。