UNIXサーバのリプレースにおいて,移行先のプラットフォームはどのように選択すべきか──。安定稼働を脅かすリスクの回避,ビジネス継続性,導入・運用コストの観点から,それを検証すると,やはりUNIXサーバが最も妥当だという結論に至る。
その根拠は,第1回で述べたとおりだが,同一プラットフォームへの移行は,システム担当者にとっては負担が少なく、スムーズな移行が想定されるだけに、「単純かつ消極的な判断」ではないかという不安を感じることもあるのではないだろうか。
そうした不安は,移行先のサーバ選択時に、いかにプラスアルファのメリットをもたらすかを把握し具体的な効果までを十分に見通すことで、払拭ができる。
そこで,ここでは,最新UNIXサーバがシステムにもたらすことができる導入メリットごとに,その背景にある技術や機能を紹介する。

最新UNIXサーバSPARC Enterpriseは,富士通の従来製品であるPRIMEPOWERに比べ,性能,消費電力,設置スペースの面で,大きな進化を遂げている。
図2 クロスバー構成による性能向上の仕組み

クロスバー自体も高速,広帯域を実現しており,高速なデータ転送を実現。SPARC Enterpriseの処理能力を大幅に向上している。
システムにプラスアルファのメリットをもたらすことのできる最新UNIXサーバ製品として,前回も取り上げた富士通の「SPARC Enterprise」を例に取ると,SPARC Enterpriseは,様々な機能強化によって,従来製品である「PRIMEPOWER」に比べて,ある場合では,性能40%向上(※1),消費電力75%削減(※2),設置スペース80%削減(※2)というメリットをシステムにもたらす(図1)。こうしたメリットを強調できれば,先述のような誤解を招くことも,なくなるだろう。
では,これら導入メリットのうち,性能40%(※1)向上は,どのようにして実現しているのだろうか。まず,挙げられるのがプロセッサの進化である。SPARC Enterpriseのラインナップのうち,ミッドレンジ以上のモデルに搭載されたSPARC64 VIは,マルチコア,マルチスレッドに対応しており,論理的に4つのプロセッサに分割することで処理能力を大幅に向上。最大6MBのキャッシュメモリを搭載し,トランジスタ数は5億4,000万にものぼる。
一方で,SPARC Enterprise自身も,CPU,メモリ,I/O間を1対1で直結することで,複数のCPUが同時にメモリにアクセスでき,性能ボトルネックの発生を防ぐクロスバー構成を採用しているだけでなく,クロスバーも従来比約5倍という,高速・広帯域を実現(※3)。これにより,データ転送速度を向上し,SPARC Enterpriseの処理能力の大幅な向上を支えている(図2)。
こうしたプロセッサやサーバ本体の進化によって,SPARC Enterpriseは「従来製品PRIMEPOWERから性能40%向上(※1)」というプラスアルファのメリットを実現しているのである。
消費電力75%(※2)削減,設置スペース80%(※2)削減という導入メリットを生み出しているのが,Webフロントなどへの導入に最適なSPARC Enterprise のエントリークラスのモデルである。
同モデルは,最大8コアを搭載し,1コア当たり8スレッド,合計64スレッドまで同時実行が可能な「UltraSPARC T2プロセッサ」を搭載。これにより,同時に処理できるトランザクション数を大幅に向上している。また,従来はシステムレベルで実装していた,PCI Expressインターフェースおよび10Gbit Ethernetインターフェースをプロセッサのチップ上に直接搭載し,プロセッサの処理速度に加えてネットワークやI/O性能も向上した。さらには、複数サーバの集約に必要な最新の仮想化技術も提供している。
この高性能を1Uまたは2Uのコンパクト筐体に凝縮したことで,同じ業務処理で必要になる設置スペースを削減。従来機種の「PRIMEPOWER」と比較して80%のスペース削減(※2)を実現した。さらに,動作周波数を抑えるなどにより,75%という消費電力削減(※2)も実現したのである。
消費電力と設置スペースの削減というメリットの裏には,こうした技術的な強化があるわけだが,さらにその背景には,SPARC Enterprise が,UNIXサーバとして担うセグメントに配慮したラインナップとなっており,導入領域ごとに異なる特性を持たせていることが挙げられる。

当然だが,導入する領域によってUNIXサーバに求められる要件も変化する。リプレース時に,プラスアルファのメリットを得るには,その領域の業務特性に合致した強みを持つサーバ選びが必要になる。
具体的には,一口にUNIXサーバといっても,導入する領域が異なれば,求められる機能や要件は変わる(図3)。
例えば,今日,UNIXサーバが多く用いられている領域の中でも,Webフロントなどでは,トランザクション数は大量ではあるものの,1トランザクション当たりの負荷は小さいため,何よりスループットの高さが求められる。一方,バックエンドなどでは,負荷が大きいトランザクションを高速に実行することが不可欠となる。
しかも前者には,今日多くのITシステムに欠かせない要件となっている,低消費電力,空調などのファシリティコスト,設置スペースの削減が求められるが,後者は,基幹システムを支えるために欠かせない堅牢性などが要求される。
エントリーモデルからハイエンドモデルまで,SPARC Enterpriseの仕様はこうしたニーズに配慮したものとなっており,それが,性能40%(※1)向上,消費電力75%(※2)削減,設置スペース80%(※2)削減というメリットを生み出しているのである。
性能,消費電力,設置スペース以外にも,企業システムに求められる要件はある。それが,システム変更要請に速やかに対応でき,将来のビジネスを支えるための「柔軟性」「拡張性」である。IT部門が経営層からの要求に,迅速かつ的確に答えるためにも,システムがこうした要件を満たしておくことは不可欠となる。
それに対し,ミッドレンジ以上のSPARC Enterpriseは,各パーティションを完全に独立させて稼働させ,可用性を向上しつつ柔軟なシステム変更やサーバ統合のニーズに対応できるハードウェア・パーティショニングを搭載している。
このパーティショニング機能は,各パーティションの独立性を保っていることから,あるパーティションで障害が発生しても,他のパーティションには影響を与えず稼働を続けることができ,また,プロセッサに故障が発生した場合も,動的にリソースを再構成し,システムを稼働させたままのプロセッサ交換も可能(※4)になる。基幹系システムには欠かせない可用性向上に大いに貢献するのだ。
さらに,ハードウェア・パーテションと物理的な制約なしに論理的にパーティション分割が可能なソフトウェア・パーティション機能「Solarisコンテナ」を組み合わせることで,ビジネスニーズに合わせて,より柔軟にリソースを有効活用できるようにもなる。
システムが処理しなければならないデータ量が年々増加する中,常にシステムを自社のビジネス要件に合致した状態に保ちつつ,コスト削減などに対応しなければならない企業にとって,ここで取り上げた性能向上,消費電力削減,設置スペース削減,そして柔軟性,拡張性の獲得というメリットは,大きな意味を持つはずだ。
また,現在の企業に求められるグリーンIT対応においても,最新UNIXサーバの持つこれらの強みは,大いに効果を発揮する。実際,富士通は,厳しい環境評価基準(省資源化,リサイクル設計,化学物質含有/使用規制,省エネルギー,環境情報の提供など)を自主的に設け,SPARC Enterpriseの全モデルを,この基準を満たす製品として「グリーン製品」に指定している。
投資の保護という観点からは,サーバ製品に対する,ベンダーの“本気度”も重要になるが,富士通では,同社のUNIXサーバ戦略の核として,このSPARC Enterpriseを位置づけており,今年,2008年にもミッドレンジ,ハイエンドモデルのCPUのメジャーエンハンスを予定しているところを見れば,そうした心配もない。
UNIXサーバのリプレース時期が迫り,プラットフォーム選択に悩む企業にとって,最適な選択肢は──。そして,その選択がシステムにもたらすメリットとは,一体どういった点なのか──。SPARC Enterpriseのようなプラットフォーム製品が,その答えを自ずと示しているとはいえないだろうか。
※2 富士通ベンチマークにおける同等性能の従来機のシステムとの比較。PRIMEPOWER 250(SPARC64 V,2CPU/2コア)×5台とSPARC Enterprise T5220(UltraSPARC T2,1CPU/8コア)×1台
※3 富士通調べ
※4 SPARC Enterprise ハイエンドモデルのみ対応
TEL.0120-933-200(平日9:00〜17:30 土・日・祝日を除く)


