メインフレームからのダウンサイジング,インターネットシステムの構築というニーズがUNIXの導入を拡大したことは,Vol.1で述べたが,当初から現在のような高機能を実現していたかというと,そうではない。今日のUNIXがあるのは,より高性能・高信頼を求めるユーザーの期待とその要望に応えてきたベンダーの努力によるものである。
中でも,UNIXがメインフレームの代替として導入されたことは,信頼性向上の大きな要因となった。メインフレームが担っていた処理を新たに担当することになったUNIXには,当然,同様の信頼性が求められ,脆弱性の排除,信頼性を実現する機能の追加など,様々な強化が施されたのである。特に,日本市場の信頼性に対する高い要求はUNIXのエンハンスにおいて,大きく貢献したともいわれている。
こうした取り組みが,より高度なシステム領域への導入拡大,新たな課題の浮上,さらなる機能強化というライフサイクルを生みだし,UNIXを今日のような完成度の高いプラットフォームへと進化させたのである。
しかし,時代の移り変わりと共に市場に大きな変化が訪れる。まず1つが,PCサーバー市場の顕在化とWindowsの台頭である。
いまや,国内だけでも年間60万台近くが出荷されているといわれるPCサーバーだが,市場を形成するようになったのは1990年代前半からで,歴史はそれほど古くはない。登場した当初は,ファイルサーバーやプリンタサーバーとしての役目が主で,OSとしてはNovell NetWare,IBM OS/2,あるいはSCO UNIX(インテル版)などが採用されていた。
だが,その後,技術の進展や低コストで導入できる点がユーザーに評価され,PCサーバー市場が本格的に成長。その成長期にWindowsは,Windows 2000 ServerでサーバーOSとしての機能を確立した。さらには,OracleやSAP/R3がWindows上に移植されるといった出来事もあり,WindowsとPCサーバーの組み合わせは,小規模データベースシステムや業務システムとしても使われるようになったのである。
2つ目がLinuxの登場である。Linuxは,当時フィンランドの大学生であったリーナス・トーバルズ氏が開発したOSで,開発過程やソースコードをインターネット上で公開する「オープンソース」という手法が用いられた。このオープンソースという考え方がその後のソフトウエア開発に大きな影響を与えたことは,周知のとおりである。
多くのエンジニアから支持されたLinuxは,カーネルや基本アプリケーションが無償,それらを集めた「ディストリビューション」も安価であったことから,初期コストの低さに注目した企業や大学が主にインターネットサーバーとして導入し始めた。

1980年代後半からサーバーおよびワークステーションとして利用が拡大。その後,WindowsやLinuxの台頭もあったが,現在も,ミッションクリティカル分野,基幹業務分野(準ミッションクリティカル),そしてインターネットサーバーで,有力な選択肢となっている。
Windowsの台頭やLinuxの登場によって,UNIX,Windows,Linuxは,それぞれの「居場所」を争うようになっていく。部門サーバーなどの一部分ではWindowsが,インターネットサーバーではLinuxがシェアを拡大したことから,UNIXの停滞を主張する論評なども出始めた。
しかし,このような見方に対し,企業のIT基盤のコンサルティングを行い,実際のプラットフォーム選択にも中立な立場で関与している株式会社アイ・ティ・アールの内山 悟志代表取締役は,次のように話す。
「WindowsとLinuxが,オープンサーバー市場,ひいてはUNIXに大きな影響を与えたのは事実です。とはいえ,UNIXの存在価値が大きく変わったかというと,そうではありません。ITの利活用に先進的な企業では,すでにそれぞれのOSの特性の見極めや検証作業を終えており,特に高い信頼性などが求められるミッションクリティカルな領域はUNIXで構築すると決めている企業も少なくありません」
ミッションクリティカルな領域とは,単に基幹系システムだけでなく,インターネットを利用した電子商取引やコンテンツ配信をメインビジネスとしている企業にとってのインターネットサーバーなども含む。つまり,UNIXは,そもそもの主戦場であったインターネットサーバー,中でもLinuxでは構築できないシステムや基幹サーバーにおいては,存在が薄らぐどころか,むしろ他のプラットフォームでは決して置き換えることのできない存在感を示し,その価値をさらに高めているのである。
前述の内山氏も「新たなニュースを耳にすることがなくなったのは,UNIXの提供する価値が,すでに当然のものとなっているからでしょう」と,停滞論を否定する。
代表取締役 内山悟志氏
国内企業および外資系企業でデータベース関連システムの開発に従事。その後,データクエストジャパンでシニアアナリストを務める。1994年,企業に対してIT戦略をコンサルティングする株式会社アイ・ティ・アールを創業し代表取締役に就任。「日本版SOX法IT統制実践法」など著書多数。
1990年代に始まったダウンサイジングの大きなうねりの中で,メインフレームで処理していた業務を移行できたのはUNIXだけでした。富士通のUNIXサーバー製品も,ミッションクリティカルな用途に多く活用いただき,長年に渡り鍛えられてきました。UNIXの20年来の年月と技術の積み重ねには,他のOSにはないメリットがあると思っています。
今までの製品供給を通じて感じるのは,いまだ変わらぬお客様のUNIXへの期待の高さです。現場のシステム管理者の方々は,万が一,故障が発生しても,その影響箇所を最小化して,故障部分を切り離して稼働し続けるような,堅牢なシステムを強く望まれています。そして,自社のビジネスを止めないプラットフォームを求め,その有力な解決策として,UNIXサーバーを選択されるのです。
現在,当社では,多くのお客様に活用していただいているUNIX OS 「Solaris(TM) Operating System」を搭載した,最新のUNIXサーバー「SPARC Enterprise」をサン・マイクロシステムズと共同開発し,提供しています。この製品を中心に,今後もお客様の多様なニーズに的確にお応えしたいと考えています。
最終回となる次回は,UNIXの将来について概説する。8/1(水)公開予定。
TEL.0120-933-200(平日9:00〜17:30 土・日・祝日・年末年始を除く)
http://primeserver.fujitsu.com/sparcenterprise/





