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オープンプラットフォーム再考 UNIXサーバーの存在意義を問う
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誕生の歴史と市場動向から振り返る これまでUNIXが歩んできた道
40年近く前に開発され,現在,多くの企業が信頼を寄せるUNIXは,ダウンサイジングやインターネットブームを契機として,メインフレームに代わるOSとして確固たる地位を築いてきた。
今日のUNIXのポジションを明らかにするためにも,まずは誕生から現在に至るまでの経緯を振り返ってみよう。
1969年,ベル研究所で産声を上げたUNIX

UNIXの誕生は1969年にまでさかのぼる。AT&Tのベル研究所で,Multicsという初期のOSを開発していたケン・トンプソンやデニス・リッチーらの手によって,当時のミニコンの1つであるDEC PDP-7上で産声を上げた。

その技術水準は,誕生当時から見て,きわめて進んだものであった。1964年頃から開発が進められていたMulticsの要素技術を流用しながら,階層型ファイルシステム,プロセス間通信,シェルとシステムコマンド群,マルチユーザー機能といった,現在のOSの基礎となる数々の技術を実装。その先進性は学会などを通じて大きな反響を呼んだ。

さらにUNIXの普及を後押しするできごとが,この少し前に起こっていた。アメリカで電話サービスを一手に握っていたAT&Tに対し,反トラスト法(独占禁止法)に違反しているとの判決が下され,同社が所有する技術は,妥当な対価で誰にでもライセンスしなければいけないということが定められたのである。AT&Tの一組織であったベル研究所も例外ではなく,UNIXに興味を持った多くの大学や機関にライセンスが与えられ,普及の足がかりを作っていった。この一件がなければ,おそらくUNIXはAT&Tの独自OSの1つにしか過ぎなかったとさえいわれている。

バークレー校の取り組みが今日のUNIXの基礎に

このような経緯を経て,様々な団体がベル研究所からUNIXのライセンスを受けたが,中でも,今日のUNIXを考えたとき,最も大きな役割を果たしたのがカリフォルニア大学バークレー校だろう。同校にいたコンピュータハッカーの1人が,後にサン・マイクロシステムズを創業するビル・ジョイだということは広く知られているが,ビルはテキストエディタviを開発したほか,ツールやPascalコンパイラなどをUNIXに組み合わせた「Berkeley Software Distribution」,通称BSDの開発と頒布を行ったのである。

このほかにもビルらは,仮想記憶機能を追加したバークレー版UNIXの開発を行うと共に,DARPA(米国防総省国防高等研究計画局)の依頼でインターネット・プロトコルであるTCP/IPの実装を行っている。なお余談だが,インターネットの前身であるARPANETの誕生は,奇しくもUNIXと同じ1969年である。

その後UNIXは,ベル研究所を中心に開発が進められたSystem IIIやSystem V系と,バークレー校で開発が進められたBSD系を中心に発展していく。さらには,それぞれをルーツとする多くの派生バージョンが作られた。加えて,UNIX仕様の標準化をめぐって主導権を握ろうとする企業連合が,X/Open,OSF,COSE,UNIX International ,UNIX System Laboratoriesなどの標準化団体を設立し合従連衡を繰り返した。UNIXを取り巻く環境は,かなり混乱した時期であったといえる。

もっとも最終的には,AT&Tとサン・マイクロシステムズの主導によって,System V系とBSD系を包括するSystem V Release 4(SVR4)が1989年に開発され,現在に続くUNIXの基本アーキテクチャとなっている。

(図1)UNIXの歴史:主なできごと
(図1)
UNIXの歴史:主なできごと

UNIXの歴史は,コンピュータの歴史の変遷と共に歩んできたといっても過言ではない。とくに基幹系で用いられることが多いUNIXには,たとえば脆弱性を排除するなど,さまざまな工夫が施されている。
UNIXの商用利用とマーケットの変遷 株式会社アイ・ティ・アール代表取締役 内山悟志氏

さて,次にUNIXマーケットの変遷に目を移そう。1982年,アンディ・ベクトルシャイム,スコット・マクネリ,前出のビル・ジョイがサン・マイクロシステムズを創業し,UNIXをベースとするSunOS(後のSolaris)を商品化し,マーケットの先駆けとなった。1983年にはHPがHP-UXを,1986年にIBMがAIXをリリースしている。今ではほとんどが姿を消してしまったが,ほかにも多くの商用UNIXが生まれた。

UNIXマーケットを押し上げた要因の1つに,1980年代後半から提唱され始めた「ダウンサイジング」が挙げられる。メインフレームで処理していた業務をオープンなサーバー上に移し,クライアント・サーバーモデルで処理をしようという考え方が広まったのだ。

当時の事情や背景について,企業のIT戦略アドバイザを務める株式会社アイ・ティ・アールの内山 悟志代表取締役は次のように述べる。

「様々な理由が複合的に絡み合った結果だといえますが,まず,企業の多くがメインフレームによる運用管理負荷と過大なコスト,ベンダーへの一社依存の緩和をしたいと考えていたことが挙げられます。しかし,一方で同様の信頼性は担保したい。そこで,オープンなアーキテクチャでありつつ,メインフレームに匹敵する信頼性が期待できるUNIXサーバーが受け入れられたのです」

さらに1990年代後半に始まったインターネットブームもUNIXのマーケット拡大を後押しした。TCP/IPのほか,sendmail(電子メール),nfs(ネットワークファイルシステム),telnet(リモートログイン),ftp(ファイル転送),apache(ウェブ)など,今日のネットワークに欠かせない数多くの機能のほとんどがUNIX上で開発されてきた経緯から,インターネットシステムの構築にUNIXが用いられたのである。この流れは,ごく自然なものともいえるが,そもそも当時のWindowsではインターネットシステムを構築することは不可能であった。

このようにして,インターネットサーバーと基幹サーバーを主戦場とする,今日のUNIXマーケットの土台は形作られてきたのである。

(プロフィール)
株式会社アイ・ティ・アール
代表取締役 内山悟志氏

国内企業および外資系企業でデータベース関連システムの開発に従事。その後,データクエストジャパンでシニアアナリストを務める。1994年,企業に対してIT戦略をコンサルティングする株式会社アイ・ティ・アールを創業し代表取締役に就任。「日本版SOX法IT統制実践法」など著書多数。
Vendor’s Voice 富士通 メインフレームで培ったノウハウを活かし国内のダウンサイジングニーズに対応してきた実績がある 富士通株式会社 サーバシステム事業本部 エンタプライズサーバ事業部 計画部 部長 瀬古 茂氏

日本のコンピュータ市場は,事務処理に特化した「オフコン」という特殊なセグメントの製品を抱えていたこともあり,ダウンサイジングが本格化したのはアメリカから数年遅れでした。しかし,お客様企業も我々ベンダーとしても非常に高い関心を寄せていたのは間違いありません。その背景には,ビジネスに求められるスピードが上がり始め,メインフレームでは,その変化に対応できないという危機感があったように思います。

富士通としても,1983年にサン・マイクロシステムズとパートナーシップを締結し,1990年代前半からUNIXサーバー製品の本格的な供給を開始。国内のダウンサイジングのニーズに応えてきました。

その際,最も注意を払ったのは,やはり信頼性と可用性です。メインフレームと同じように夜間バッチを走らせた際,障害が発生して処理が途中で止まってしまうことは許されません。ですから,我々がメインフレームの開発で培った数々のノウハウを,UNIXサーバー開発にも反映し,信頼性の向上に努めてきました。

その後,UNIXサーバーの普及と共に,多くのミッションクリティカルなシステム構築を当社が担当してきた背景には,こうした取り組みに対する評価があったのだと自負しています。

拡大し続けるミッションクリティカルの領域については、分散したサーバーの統合などに対する要求も高まっています。これらのニーズに対しても,お客様の声に耳を傾けながら真摯に対応し,さらには,次世代においても最適なシステムを提供するという姿勢で開発にのぞむ考えです。

次回は,現在のUNIXのマーケットについて詳しく見ていく。7/11(水)公開予定。

お問い合わせ
富士通コンタクトライン
TEL.0120-933-200(平日9:00〜17:30 土・日・祝日・年末年始を除く)
http://primeserver.fujitsu.com/sparcenterprise/
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