約40年という歴史を持ち,その間,信頼性とパフォーマンスの向上を続けてきたUNIXは,現在の社会に大きな影響を与えている。
今日,社会は24時間休むことなく活動を続けている。オンラインで結ばれた海外の株式市場や為替市場では日夜大きな取引が行われているし,私たちは時間を問わずにインターネットにアクセスし,当たり前のように欲しい商品を購入したりしている。
このような24時間社会は,情報基盤の存在なくしては成立しない。それも,極めて堅牢かつ高度な処理能力を有する情報基盤が必要となる。
従来,このような市場は,メインフレームの独壇場であった。しかし,これまでの連載で述べたように,1980年代後半に押し寄せたオープン化の波,さらにはミッションクリティカルな領域とインターネット領域で発揮される強みによって,現在はUNIXサーバーが,その役割を担っている。
その理由について,企業のIT基盤構築のコンサルティングを行っている株式会社アイ・ティ・アールの内山 悟志代表取締役は,次のように説明する。
「社会インフラとして機能しているシステムの停止,処理の中断がどのような状況を招くかは,もはやいうまでもないでしょう。今日の情報基盤にとって信頼性は,以前にもまして欠かせない要件となっているのです。また近年では,銀行,株取引,チケット予約,オンラインモールといった多くの業種で,インターネットそのものがビジネスの根幹を構成するようになりました。特にコンシューマーを対象としたビジネスの場合,雑誌やテレビで紹介された直後に大量の注文が寄せられるなど,トラフィックのピークを容易に予測できません。つまり,たとえインターネットサーバーであっても,ミッションクリティカル環境に対応する堅牢性とスケーラビリティーが求められる時代になっているのです」
このような傾向はしばらく続くことが予想される。今後もUNIXが,これらの情報基盤を支える中心的な存在であり続けることは間違いないだろう。
さらにUNIXサーバーには,別の役割も求められるようになっている。
オープンシステムの普及に伴い,情報基盤の構成は,メインフレームを使った一極集中型から複数のサーバーを用いる分散型へと変化を遂げた。しかし,業務や部門ごとにサーバーを増設していった結果,システムの複雑化,運用管理負荷の増大という問題が浮上している。
こうした問題を解決するシステム構築手法として注目されているのが,サーバー統合である。分散した多数のサーバーを少数のサーバーに集約し,全体の運用管理コストを下げるとともに,運用やセキュリティポリシーの一元化を図ろうという考え方だ。ただし,これまでは統合に適したハードウエアなどがなかなか存在せず,複数のサーバーを「場所的」に集約する統合しか実現できていない企業も多かった。
しかし,ハイエンドUNIXサーバーを中心に搭載される最新技術によって,そのような課題は解決しつつある。
中でも代表的なのが,マルチプロセッサ構成のハードウエアを分割する「ハードウエアパーティショニング」技術と,1つのハードウエア上でワークロードの異なる複数の業務を同時に動作できる「ソフトウエアパーティショニング」技術である(図)。前者は,1台のサーバーを筐体の中で物理的に複数のサーバーに切り分ける技術,後者は仮想的に切り分ける技術だ。これにより,1台の筐体の中に複数システムを共存させることが可能になり,サーバーの統合環境が実現。集約するサーバーが高性能かつ高信頼なプラットフォームであれば,個々に高信頼サーバーを配備することなく情報基盤全体としての信頼性を確保できるほか,サーバー台数が少なくなることで運用管理負荷やコストを軽減できる。
パーティショニングのメリットは,それだけではない。例えば,稼働中のアプリケーション環境に影響を与えることなく,開発中の環境を同じハードウエア上でテストできる。また,処理量に応じてリソースの配分を動的に調整することもできるため,トラフィックが集中する時期に合わせてハードウエアを増強するといった必要もない。加えて,障害が発生した箇所を切り離せば,他のパーティションに影響を与えることなく,稼働中に保守することもできる。

マルチプロセッサ構成のサーバーをハードウエア的に分割する技術がハードウエアパーティショニングであり,1つのハードウエアパーティション内を仮想的に分割して,複数のOSが動作しているようにみせる技術がソフトウエアパーティショニングである。どちらも,サーバーの仮想化技術として注目されている。現在,プロセッサやOSにパーティションを補助する機能が組み込まれるようになり,いよいよ実用化の域に入ってきた。
このように,高度情報化社会,企業活動を支える情報基盤において,UNIXが果たしている役割は小さくない。一方で,UNIXサーバーは,一般的に高価で,導入には二の足を踏んでしまうという声も聞く。
かつての企業の情報基盤は,日常業務の効率化や経理業務のような大量の計算処理を目的としており,一度導入したシステムは償却期間が満了するまで使用していても問題なかった。しかし,企業が扱う情報量は果てしなく増大し,情報処理要件もバッチ処理からリアルタイム処理へと変わりつつある。企業は,そうしたニーズに対応し,自社のビジネスを成長させるための戦略的なIT投資を行わなければならない。これからは情報基盤の良否が企業の命運を左右する時代なのだ。
「そのためにも,システムのプラットフォームは初期コストだけで選定すべきではありません。ハードウエアの信頼性,トータルな運用コスト,ミドルウエアの充実度など,幅広い観点での評価が必要です」と内山氏は強調する。そして,「あらゆる処理がミッションクリティカルな性格を帯びてきた現在,UNIXサーバーは有効かつ,場合によっては唯一の選択肢となるケースもあるでしょう」と続ける。
繰り返すが,今後,情報化社会の進展がますます加速することは間違いない。将来の社会を支えるプラットフォームとして,また,私たちの目には直接触れることのない企業のバックボーンとして,実績の面で他を圧倒するUNIXにかかる期待は大きい。
代表取締役 内山悟志氏
国内企業および外資系企業でデータベース関連システムの開発に従事。その後,データクエストジャパンでシニアアナリストを務める。1994年,企業に対してIT戦略をコンサルティングする株式会社アイ・ティ・アールを創業し代表取締役に就任。「日本版SOX法IT統制実践法」など著書多数。
富士通はUNIXの雄であるサン・マイクロシステムズと1983年から協業を重ねてきました。製品供給や技術協力が主な内容です。2007年4月に発表した「SPARC Enterprise」は,その取り組みが結実した製品だといえるでしょう。
これまでUNIXは,その高い信頼性が評価され,メインフレーム業務をオープン化しようと考える多くのお客様に選択されてきました。しかし最近では,メインフレームのもう1つの特長であるリソース管理機能をオープンサーバーに求めるお客様が増えています。リソース管理がきちんとできるオープンサーバーであれば,メインフレームと同様に,多数の異なる業務を1台のサーバーに統合することができるのです。
その点,SPARC Enterpriseは,富士通が開発したSPARC64 VIプロセッサとサン・マイクロシステムズのSolarisをベースに,当社がメインフレームで培ったパーティショニング機能やSolarisコンテナ機能などを搭載。信頼性や高可用性,スケーラビリティーももちろんですが,仮想化を見据えた柔軟なリソース管理が可能です。これからの情報化社会に求められる高度な要件に応える最適なプラットフォームだと自負しています。
これまでミッションクリティカルといえば金融や証券のトランザクションが該当する程度でしたが,現在はウェブサーバーや電子メールサーバーにも,ミッションクリティカルに準じた信頼性が求められるようになってきています。富士通では,SPARC Enterpriseの提供を通じて,これからもお客様の要件にお応えする製品を提供していきたいと考えています。
TEL.0120-933-200(平日9:00〜17:30 土・日・祝日・年末年始を除く)
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