ITpro Special ITpro
J-SOXがスタートして見えてきた“本当の”内部統制
Vol.3 業務運用の自動化がもたらす、統制強化と効率化の両立
金融商品取引法(J-SOX法)が施行された今、企業が最優先で行うべき内部統制を考える今シリーズ。前回は、内部統制の観点から、従来のログ管理の問題点を指摘しその解決策を紹介した。今回のテーマはジョブ管理で、前回同様、内部統制の観点から従来のジョブ管理を見直し、その問題点から解決策までを探る。今回も、富士通 ソフトウェア事業本部 ミドルウェア事業統括部 プロジェクト課長 堀江隆一氏に聞いた。

ジョブ管理を内部統制の観点から見直す

堀江 隆一 氏

富士通株式会社
ソフトウェア事業本部
ミドルウェア事業統括部
プロジェクト課長
堀江 隆一 氏

 営業売上の集計や、月締め処理などのバッチジョブを始めとするジョブの管理は、従来システム運用管理の効率化の観点から進められることが多かった。ジョブの実行や管理は人手によるところが多く、この効率化がシステム運用全体の効率化に大きく関わってくる。

 加えてJ-SOX法が適用される財務/会計システムでバッチ業務が多用されており、不正や重要なデータの改ざんを防止する内部統制の観点からもジョブ管理を見直すことが、今求められているのだ。

 しかし、内部統制の観点から従来のジョブ管理を見直してみると問題点も多い。最大の課題は、手作業でのジョブ実行だ。

 もちろん処理を手作業で行っていても、ほとんどの場合手順書が用意され、その手順にしたがって行うことがルールとして決まっているだろう。しかし、手順書があっても人が行う作業でのミスや不正は防げない。たとえば、手順書と異なる間違ったジョブを起動したり、不正な操作で故意に別のジョブを起動しても検知されにくい、という危険性は常にある。

 さらに、突発的な変更や運用予定の入れ替え作業などを人手に頼った運用では、効率の観点からも問題が大きい。特に運用スケジュールの入れ替え作業などは夜間の日変わり時刻間際に行われることが多いため、真夜中に担当者が作業して管理者が確認しなければならず、運用の負担が大きい。人手が多く介在する作業は統制の観点からも効率化の観点からも、問題が大きいのだ。

業務運用の自動化で、統制と効率化を共に実現

 このように財務/会計システムなどの基幹システムで運用するバッチ業務は自動化することによって、統制を強化して効率的な運用を可能にする。

 まず、日次集計/月次締めなどの定例処理を自動実行することにより、不正や誤操作の入る余地がなくなる。人手による操作を極力排除し、ログを自動的に記録することで、正しく運用されたことを確認できるようになる。

 また、IT全般統制では、例外処理もルールに基づいて運用することが求められる。したがって手順書などを準備する必要があるが、できれば事前に設定して自動化しておきたい。

 運用スケジュールの変更を例にとると、月次締め処理の日は業務量が多いため通常の日とは異なる運用スケジュールになる。このような場合、通常は運用日が切り換わる時刻の直前まで待って、夜中にスケジュールの入れ替え作業を行う必要がある。これでは管理者の負担が大きい。ジョブ管理製品でこのような特異日のスケジュールをあらかじめ定義しておき、締め日に自動的に入れ替えて翌日は通常のスケジュールに戻すことができれば、統制の観点からも、効率化の観点からも非常に有効だ。

 そして、業務が予定よりも遅延している場合などでは、処理が翌日にずれ込み、翌日に予定した処理が実行されない事態も発生する。そんな場合でも、あらかじめ見越して対処方法を定義(前日の処理を強制的に打ち切り、前日の処理が終わるまで待ってから当日の処理を開始など)、遅延対応における人手の介在を少なくすることができる。

自動化できない手動操作のログ取得と確認も重要

 内部統制を確実に行うために、もうひとつ重要なのが、スケジュール外の急な起動や停止など、どうしても自動化できない手動操作の記録を取ることだ。コンプライアンスの観点から、記録を残すことをルール化していても、それが手作業で行われていれば、手間がかかるため後回しになって忘れられかねない。

 手動による操作は一般的に作業申請に基づいて行われるため、操作ログを自動的に取得しておき、申請書とログを照合することで申請通りに操作されたかどうかを確認することができる。その際、手動操作のログだけを抽出できるようになっていると照合作業も大幅に効率化できる。

Systemwalker Operation Managerで、統制と効率化を両立

 上記のように定型的な業務から例外的な処理の自動化までを実現するのが、富士通の「Systemwalker Operation Manager」だ。

 Systemwalker Operation Managerを導入することで、統制の強化と効率化を実現した、ある製造業A社のケースを紹介しよう。

 A社では、複数のERPシステムを連携させた販売管理業務を運用していた。そのため、システム間を連携するジョブが多く、手順が複雑で業務の誤起動などの操作ミスが発生していた。また、システムごとに専任のオペレーターが運用を行っていたため、システム間連携に関わる異常や遅延などの発生に気づくのが遅れがちだった。さらに、コンプライアンス対策として手作業で稼働履歴を記録していたが、1日あたり平均実行ジョブが1,000にも上っていたため、記録するだけで多大な負担であった。

 内部統制強化と効率化の実現を目指し、これら従来の手作業の自動化に向け、Systemwalker Operation Managerを導入。たとえば、AのシステムからBのシステムにデータを受け渡して処理を行う場合、従来はBのオペレーターがAからデータが送られたことを確認してから処理を行っていたが、これら一連の流れを自動化することで確実で迅速な処理が可能になった。

 また、異常時には自動的にリカバリを行い、オペレーターにメールで通知。予定の実行時間を超過しても業務が終了しない場合にも、警告メッセージが発せられるなど異常や遅延の発生を迅速に検知できるようになった。さらに、稼働記録も実行ログとして自動的に記録されるので管理者の負担が減り、運用レポートも簡単に作成できるようになった。

 この結果、確実な運用を実現するための統制を強化し、それを裏付ける記録もきちんと残せる。さらに、従来、人が行っていた作業を自動化することで大幅な効率化を実現した。結果として、業務運用は専任のオペレーターによる2人体制から運用管理者が他の業務と兼務でできる体制に効率化できた。

 このようにSystemwalker Operation Managerを利用することによって、運用の統制と効率化を一挙に実現することを紹介してきた。

 次回は、内部統制を確実に実施するためのシステム変更管理について紹介する。

Systemwalker特集サイト ジョブ実行やログ取得の自動化で、統制と効率化を一挙に実現

セミナー

ITproについて会員登録・メールマガジン購読ITproプレミアム(有料サービス)MyITproについてITpro Researchについて
ITproへのお問い合わせ・ご意見日経BP書店日経BPケータイメニュー広告について
著作権リンクについて|個人情報保護方針/ネットにおける情報収集/個人情報の共同利用についてサイトマップ

日経BP社Copyright (C) 1995-2010 Nikkei Business Publications, Inc. All rights reserved.
このページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。著作権は日経BP社,またはその情報提供者に帰属します。
掲載している情報は,記事執筆時点のものです。